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ピアノ教室コンセール・イグレック♪


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Danangの夕べ〜「ピアノ教室コンセール・イグレック」の現在

投稿日:2018-05-18

5月に入り、ブルースカイの日が爽やかになってきました。

GWも終わり、新学期、新年度の毎日にもきっと慣れてきたことでしょうね。

私のピアノ教室にも初めてピアノを習うお子さん、春から帰国子女のジュニア生徒さん、また社会人のいろんな方からのレッスン依頼に恵まれ、楽しく過ごさせていただいています。まだエアコンがぐんと要り用だった頃からブログの更新が出来ていなかったにもかかわらず、たくさんのお問合せ、新しい生徒さん達との巡りあい、って、ほんとうに幸せなことだなって思います。

 

Facebookの{ピアノ教室コンセール・イグレック}の公開ページの閲覧数も増えてきていて、嬉しく思っています。FBページの掲載メッセージを自分のブログにリンクする作業もなかなか出来ないまま、新緑のシーズンに至ってしまいましたが、2月第1週に室内楽ステップとピアノコンクールを終えた生徒たちがたくさんいたのを機に、久しぶりにPassport必須の旅行、すなわち海外への観光旅行に出かけてきました。Danang/ダナンへ5日間の旅です。


これまで私はほんとうにたくさんの旅行に恵まれ、ヨーロッパだと東欧、北欧以外のたくさんの国々、アジアもグァム、ハワイ、香港、マカオ、ソウル、シンガポール、バリと行きましたが、ダナン=ベトナムはアジアのなかでは一番しっくりくる、意外にも好印象の国になりました。フランス植民地だったこともあり、味のセンス、インテリアのセンスが素敵です。ダナンは海沿いのリゾート地で、とくによかったのがホテルからタクシーで小一時間の街、ホイアンでした。ハングル文字がさっぱり読めないソウルはいつも辟易ですが、ベトナム語表示はまだ憶測がつく範囲内ですし、何といってもこの地のお店の人たちは皆ニホンゴがお上手です。ダナンの空港で何気なく飲んだベトナムコーヒーの意外な美味しさにびっくり。後にバナヒルズに観光で出かけた際知りましたが、フランス植民地時代に在ベトナム・フランス人自身が飲みたくて、コーヒー栽培を積極的に進めたのだそうです。

ホイアンでは黄昏どきのまったりしたひとときに、とてもリラックスできました。その写真を数枚!


             

(月1回開かれる「ランタン祭り」はきっと幻想的でしょうね。)


その後、この4月からピアノ教室のほうでは小中学生以下の月謝制レッスンで年間レッスン回数の是正をさせていただき、平日で終日自由な日がゆとりを持って取れるようになったことは大きかったです。お子さまに手のかかりっぱなしの若いお母さま方にはなかなかご理解いただくのも難しいかもしれないですが、1期=3か月のなかの休講週でも、コンクールを控えている生徒さんやジュニア専科を含む熱心な生徒さん方の補講希望があり、それにもちろんワンレッスン制の生徒たちのレッスン希望も随時入ってきますので、私のほうのお休みは年間を通してほとんどない、というジレンマのなかにありました。生徒のレッスンにかかる時間はいつも嬉しい時間ですが、アウトプットばかりでは私たちの仕事は成り立ちません。自分のピアノ練習に<専念>できる日も必要ですし、また自分のセンスを磨くべく、ゆったりとコンサート鑑賞や美術鑑賞などに出かけ、またいろんな方々とお会いして様々な情報に触れ、インスピレーションを絶やすことのない環境に身を置くことに欠くことが多くなってきていました。こうした自分磨きの時間もピアニストとしてはたいへん大切なことですので、随分と長いこと厳しい状況でした。或る時ジュニアコースの生徒たちのレッスンを2週続けてお休みせざるを得なかったことがあるのですが、私の生徒たち、園児〜中学生まで、2,3週くらいレッスンを開けたからと言って、基本が崩れる生徒はひとりもいなくてびっくりしました。毎回のレッスンで基本を守ることをきちんとしっかりと伝授しているので、たちまち型崩れするということはありません。なので、休講週はその前から曲が仕上りかけている曲を深める時間に充て、芯から本人の力量がレベルアップできる充足の時間に切り替えてゆきたいと思っています。

 

また社会人対象のレッスンではより真剣にピアノに向かう方々との出会いに恵まれ、またこれまでの受講生の方には毎回のレッスンでの現状把握と向上に向けてのポイントをよりしっかりと掴めていただけるようになり、レッスン規約の見直しを図ってよかったなと思う次第です。

 

社会人レッスンのニーズは、ご趣味の方からピアノ指導に携わっていらっしゃる方、学生時代専門にピアノを学んだ方など、ほんとうにさまざまですが、なんとなく、でなく、きちんと基本を理解し、これまでの勉強や経験もじゅうぶん踏まえたうえで上達したいと思われる方に、ぜひ来ていただきたいと思っています。


そこで『ピアノを弾くための<5つの指と手の体操>とピアノ演奏への基本リンク』と題し、ピアノテクニックと音階練習に特化したレッスンを設けようと思っています。


これらの内容は、私のピアノ教室では小学生以上の初級以上の生徒さんたちにはレッスン内で毎回やっていることでもあり、ゆったりと積み重ねると半年ほどで効果があらわれ、3年もすれば十分本人の手のうちに入ってくることなのですが、毎回のレッスンで15分程度は要します。社会人生徒さんのレッスンでは60分レッスンで受講させている方がほとんどですので、お持ちになる曲も長いですからどうしても曲のほうに気を取られ、こうした基本の<き>に余裕をもって臨んでいただくことがむずかしくもあり、生徒さんサイドからこうした練習をしてこなくなる方も少なからずいます。しかしながら私のピアノレッスンでは、こうした予備テクニックがないとアドバイスに即応することができないので、またまた空回りになってしまうのです。

といったわけで、こういったレッスンを始めてゆこうと考えている次第です。

 

お若いころピアノを習っていらして、日頃はご自分のペースで弾ける曲を気ままに奏でていらっしゃるという方、ピアノレッスンは他のお教室で習っているけれど基本だけやってみたいという方、ピアノを教えているけれどピアノテクニックについての本当のところを知りたいという方・・・、そもそも「ピアノってどう弾くの?」・・・そこのところ、みっちりわかる内容です。ぜひぜひ受講をお考えいただければ、嬉しく思います。

3か月、6か月という単位でこのレッスン内容の軸足、効用が実感となってわかってくるような形がとれるよう、考えを進めているところです。

 

もうすこ〜し頭のなかが整理できましたら、HP上でご案内させていただきますね。

どうぞよろしくお願いいたします。 

 

 

生徒たちの笑顔に接して

投稿日:2018-02-04

今週末は、ピティナ新名古屋支部主催<室内楽ステップ>が開かれ、土曜日はアドバイスレッスン、日曜日は本番発表の日でした。

今回は、先の門下生コンサートでゲスト演奏していただいた水村浩司先生交えてのトリオに3名とバイオリンデュオに3名の計6名の生徒たちが参加しました。そしてこの付添いから家に戻ると、嬉しい知らせが届きました。

別会場で「ヤマハジュニアピアノコンクール出場者選考会」C部門に参加した小5生徒が、優秀賞で通過!

この生徒、先の月曜日にドッチボールで怪我をして剥離骨折と微妙な診断結果を言われ、失意のどん底(?)に!・・・しかし後日別の病院で骨折ではないことがわかり、バタバタどぎまぎの時間を経て、ここにこうして努力が報われました。精神的にも強くなったよね。素晴らしい! 心からおめでとう!

 

きょうの室内楽ステップ本番発表には立ち会えませんでしたがさっそくビデオを送ってきてくれた生徒さんもいて、12月に門下生コンサートを終えたばかりなのに、素敵な演奏をつくり上げていてとても嬉しく思いました。

この室内楽ステップでは、演奏してくださるバイオリン、チェロの先生方のとても優れた的を得た素晴らしいレッスンがついていますので、私は下地を作ることだけに徹します。テンポを整えることと、相手のパートの音をいっしょに歌い、私がメロディを他の楽器で弾いたり、歌ったりして合奏し、相手の音を聴くゆとりを持たせる、この2点だけです。

アドバイスレッスンでは初めて参加の生徒ももう何回めかの生徒たちも、短い時間内にとてもよく集中して、共演する先生方の音を聴き、その音楽をとらえて、すっかり演奏のグレードが変わっていました。ベテラン組はフレージングや呼吸感までが入り込んで、素敵な音楽に様変わりです。こうした経験は、経験した者にしかわからない、飛び切り上質の体験となりますし、ピティナ新名古屋支部のこの若いピアニストたちへの試みはほんとうに有り難い、素晴らしい活動だと思っています。

 

希望者のコンクール参加といい、こうした素敵な音楽活動参加に際し、「演奏発表」というものを厳しくみつめる私は、その都度その都度、機会を大切にし、生徒たちに今必要なことを精いっぱい真剣にレッスンで伝えます。しかし、それらを消化し、成長するのは生徒自身。そうした生徒たちのワンシーン、ワンシーンに接するひとときは、最上の幸せです。

 

〜迎春2018〜 ニースでの思い出の学びの数々

投稿日:2018-01-12

新しい年を迎え、皆さま気もちあらたにお過ごしのことと思います。

 12/24の「ピアノ教室門下生コンサート」につづき、大晦日の「東急ジルベスターコンサート」TV中継では大学同期の広上淳一氏の指揮で2018年が開幕、元旦夜は大好きなリッカルド・ムーティ指揮の「ウィーンフィルニューイヤーコンサート」をテレビ鑑賞、8日にはオリヴィエ・ギャルドンのピアノリサイタルに出かけ、思いがけず素晴らしい音楽に出会いました。素敵な音楽と美食三昧で、年末年始のお休みを堪能しました。

この年が、皆さまにとって素晴らしい年になりますよう。

今年もよろしくお願いいたします。 

 

「ピアノ教室コンセール・イグレック門下生コンサート2017」では皆さまのお力をお借りして、素晴らしい発表会となりました。

年中の可愛らしい生徒さんから小、中、、大学生〜社会人と生徒全員が、ほんとうに綺麗な音で心を込めて演奏しました。こうして全ての年代の生徒が真摯に自分の音楽を奏でる姿は、私の誇りです。

お習いごと自体に慣れていない幼少のこどもたちのこころの声に耳を傾け、小学生生徒たちの緊張感や中学高校生たちのプライド、情熱と向きあい、練習時間がなかなか取れない社会人たちにはスケジュールに合わせ、仕上げまでのプロセスを頭に描きつつ、そんな中で全体で何を表現できるか、流れをどれだけ作るかを最優先し、最終的には私自身が楽譜を読み込み、皆のフォローに徹しました。そんな思いがひいては発表会全体がもつ表現力、会全体の進行の流れとも兼ねあって、コンサートとしての効果を発揮したのでしょう。 私と生徒6名とで連弾したフォーレ:ドリー組曲、ショパン:即興曲 第1番、第4番、ポロネーズ第15番、スケルツォ第2番、ブラームス:間奏曲作品117、 バッハ:トッカータホ短調、ラフマニノフ:「鐘」、ソナタ第2番、 スクリャービン:ソナタ第4番、リスト:メフィストワルツといったプログラムが堂々と響きわたり、本当にまるでジョイントコンサートのようでした。生徒演奏発表後の<コンサートタイム>では、東京室内管弦楽団首席ヴァイオリニスト水村浩司氏の甘い調べが会場を魅了しました。

                    


年末はたくさんのことに追われっぱなしでしたが、年明けから自分のピアノにゆったりと向きあえたことも、しあわせでした。

1/8午後に、<オリヴィエ・ギャルドン・ピアノリサイタル>を聴きに宗次ホールへ。「悲愴ソナタ」の冒頭からなんとフレキシブルなペダリング。完璧な脱力が紡ぎだすnon legato音の美しいこと。続くドビュッシーの明晰でしなやかなフレージングの素晴らしいこと。演奏スタイルがジャン=フィリップ・コラールに似ているなと思いながら休憩時にプロフィールを見ると、コラールと同門のピエール・サンカンに師事とあります。私が初めてニースに行ったころ、サンカンは相当晩年でしたっけ。ジャン=フィリップ・コラールのレッスンは、テクニカルアナリーゼの連続で、もう釘づけ!もの凄くカッコよかったです。ギャルドンが黒縁のリーディンググラスをかけて弾き始めると、心なしかサンカンの風貌が浮かびあがります。同門や師匠に似てくるなんて、カッコ良すぎない?!後半の「展覧会の絵」は圧巻。ソフトペダルの細やかさ、たまたま客席から見える左足の動きには脱帽!


この同じ宗次ホールでは、ちょうど1年前に「パスカル・ロジェ・ピアノリサイタル」があり、来ていました。パスカル・ロジェは私がニースの国際アカデミーでなんどもレッスンを受けた師ですが、ロジェのライブを聴くのは、ほぼ10年振り。この日のリサイタルでは、サティの「ジムノペディ第1番」に続き「干からびた胎児」、ラヴェル「ソナチネ」、そして思い出深いプーランクの「ナゼルの夜」というプログラム。後半のドビュッシー「前奏曲集第1巻」では、ロジェ氏の演奏にも深い年輪を感じ、ほんとうに<至極の芸>という言葉が思い浮かびました。これらのプログラムのすべてが、私自身もコンサートで演奏したことのある曲でしたし、ロジェ氏にレッスンも受けた曲ではないかな。・・・私にとって夢のような格別のプログラムでした。深みを増した解釈と表現に、ふたたび感激した思いだったのを思い出しました。

この一年前のロジェ氏の終演後サイン会では、「It's my special memory that I took your lessons at Nice in 1990's.」と声をかけようと思っていたら、顔を見るなり「Wow〜!」って。「Ah,you remember me?」「Yes, at Nice.Which year?」「In 90's. 89 to 98 maybe, 5 or 6 periods.」「You played Sonatine/Ravel.」えぇ〜、そうだっけ。どんな風に弾いてたって言うんだろう、うわぁ?!けどすごい記憶力。・・・うふふ、2期めに「ナゼル」も弾いたんだけど。・・・写真を一緒に撮ってもらうと「A lot of memories at Nice.」と言って、再会をとても喜んでくださいました。若い時期に演奏のベーシックからいろいろな示唆を与えてくださった恩師の素敵な演奏に接し、いろいろと感慨深く、この1年前のコンサートも幸せなひとときでした。

             (ロジェ氏と)

「A lot of memories・・・.」それはほんとうにたくさんの思い出で、先日のオリヴィエ・ギャルドンのコンサートを聴いて以来、またいろいろなことが思い出されました。


1989年に初めてヨーロッパでのレッスンをいうものに触れ、石の文化のなかで音響をどう作るかが、最初の壁でした。ピエール・バルビゼ氏とパスカル・ロジェ氏のクラスを取ったのでしたが、バルビゼ氏のクラスオーディションで最初に弾いたフランス人の男の子のショパンエチュードOp.10-4はいまだに忘れることは出来ません。バルビゼの愛弟子で、この年パリのコンセルヴァトワールを受験する10代の子でした。その表現力、響きの豊かさに圧倒されました。日本とヨーロッパでのピアノ教育の差異を感じ、留学したいと申し出ると、マルセイユ音楽院の学長だったバルビゼ氏には「マルセイユに来てもいいよ。」と言っていただきました。

              (ニース音楽院にて)

しかしながら師は年明けの1月に急逝し意気消沈していたところ、名古屋市から奨学金を受けるチャンスに恵まれ、翌年もつづけてパスカル・ロジェ氏のクラスとPradesプラドにあるパブロ・カザルスアカデミーでのレッスンを受けることができたのでした。

この当時は1期が2週間ずつの受講で、先生方も今より比較的ゆとりをもってレッスンにあたっていたとように思われます。ロジェ氏にはテクニックのいろはを教えていただきましたし、その他いろいろな曲をたくさんみて頂きましたが、モーツァルトのコンチェルトを持って行った時にはセカンドを弾いてくださったこともかけがえのない思い出です。また、サティ「ピカデリー」で学生コンサートに出演した際には、当時アカデミーの主宰だったアラン・マリオン氏に「君は何を弾くの?」と言われ、「サティです。」と言うと「誰のクラス?」と聞き、「あのロジェったら、サティなんかでコンサートに推薦しおって。」と。「あぁ、フランスに来てまでこんなこと言われるんだぁ、マリオン氏はアカデミックなのねぇ。」などと思っていたら、そのコンサートでは私は最後から2番めの出演で、夏のヨーロッパではコンサートは日没に合せてだいたい9時すぎの開演なので、私は夜11時をまわっての出番でどうかなるかと思いきや、すっごい歓声と拍手につつまれて、演奏は受けに受けました。私はフランスではほんとうに受けがよくて、コンサートに出るたびに見知らぬ人たちから「すごくよかった。」「とても気にいった。」など熱い声をかけにきてくれた姿など今もって熱い記憶として残っています。 

2夏めのロジェ氏のレッスンでは、プーランクの「ナゼルの夜」全曲をメインにもっていったのでしたが、この時ちょっと面白い出来事がありました。とてもよく弾き込んでいたので、ロジェ氏のクラスに聴講に出かけてきている往年の名ピアニスト?と思しき老婦人が「あの子をコンサートに推薦すべきじゃない?」とロジェ氏に話していました。でもこうこうだから、と宥め、私自身もまだまだ、と思い過ごすという場面がありました。その当時のロジェ氏の注意は、とにかく「Practice slowly!」というもの、その奥義は自分で獲得せねばなりません。脱力したナチュラルな体勢でいると宇宙に通ずるような感覚があり、ゆっくりと正確なリズムを刻んでいると、拍という波も聞こえてきます。

その夏の不思議な経験は忘れられません。いつものような練習で練習室から汗をふきふき出てくると、あのマダムが練習室の廊下にビーチチェアーを持ちだして座っているではありませんか。「Bonjour ! 」と声を軽くかけると、「あ・ん・な・練習ぶりじゃダメなのよ!」と空に向かって怒鳴るのです。階下ですこし涼み、またサウナのような練習室に入ります。小一時間して部屋を出ると、まだマダムがいるではないですか。そしてこんどは、頷いています。

また2,3日後に2階の練習室で練習していると、外壁をつたっておじさんが窓から現れました。この時はゆっくりのtempoに浸りきって、かなりの集中力で涼やかに練習していたのでしたが、これにはホント卒倒しそうになりました。食堂でいつもよくしてくれているおじさんでしたが、ここへ来て気がヘンになったか?!とびっくりもしたのですが、「いや、昨日よりよくなったよ。」とニコニコ顔なのです。「昨日って?昨日も聴いてたの。・・・」って。ほんと子どもが改心しておとなしくきちんと物事を始め出したのを見届けるように。・・・ニースでの学びの経験は、私の大きな糧です。

 

国際的ピアニストのジャン=フィリップ・コラール氏がニースでレッスンをしたのは確かふた夏だけで、レッスンを受けることが出来、氏のクラスを聴講できたという時間があったということ自体が、今ではままならぬ稀有なこと。コラール氏のテクニカルアナリーゼ力は絶大なるもの。ロジェ氏にテクニックのいろはを習っていた私は、そのフランス式のテクニックアナリーゼの基本と応用の論理講釈を喰い入るように聴き入ったものです。ジャン=フィリップ・コラール氏にその時教えられ、また盗み見たことのすべてが財産となって私の音楽上の蓄積になっています。コラールのクラスでも、ラヴェルの「クープランの墓」を顕微鏡で細胞図を見るみたいにゆっくり練習している少女がいて、練習室を通りがかった時には何を弾いているのかすぐには分からないくらいにゆっくりでしたが、レッスンで奏でるその音楽は素晴らしく、とても褒められていました。こういった日本流からしたらすぐには理解しがたいレッスンの数々の経験は、パスカル・ロジェ氏のレッスンを15回以上受けたことと共に、今ではちょっと考えられないくらいかけがえのない経験であり、私の音楽の尊い一部になっている、と思います。


                     (コラール氏と)

そんなこんなを思い出し、ほんもの音楽志向のよき生徒たち、そして皆さま方に、レッスン、演奏を通して私の音楽の蓄積を確かに伝え、さらに自分の音楽を充実させてゆくことのできる素晴らしい一年となりますよう。

皆さま方のご健勝とご多幸をお祈りいたします。


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