井上ピアノ教室
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ブログ
たいせつな宝物
投稿日:2014-09-03
夕暮れには、草木のかげから虫たちの合唱が聞こえるようになりました。夏休みの楽しかった思い出を胸に、皆さん元気に新学期をスタートなさったことと思います。
8月の終わりに、1週間ほどお休みをいただきました。しーんと静まり返ったレッスン室。ふたの閉じられたままのグランドピアノが寂しげに見えます。普段せわしなく動いていると気づかないのですが、こうして立ち止まってみると、生徒さんの笑顔から、日頃どれだけたくさんのパワーをいただいているのかよくわかります。
レッスン日誌をめくりながら、生徒さんに出会ってから今日までの日々に思いをめぐらせると、さまざまな出来事が浮かんできます。ピアノを教えながら、実は、生徒さんやお母さまから多くのことを学ばせていただいていることを身に染みて感じます。
毎週レッスンに通ってきてくださる生徒さん、皆さんが私のたいせつな宝物だということを、あらためて感じた夏休みでした。
信州からの帰り道に、瑠璃色のヒゴタイの花を見つけました。
心に残ったもの
投稿日:2014-08-22
翠玉白菜の展示が終わり、行列しなくても入れるようになったと聞き、東京国立博物館で開かれている台北故宮博物院展に行ってきました。想像以上に見応えのある展覧会でした。
青磁輪花碗 汝窯(じょよう)北宋時代
青でもなく白でもない、不思議な色をしています。酒器を温めるための温椀だったそうです。思わず手に取ってみたくなるような柔らかさ、控えめな姿に引き寄せられました。
荷葉玉杯(かようぎょくはい)南宋時代〜明時代
すぼまりかけた蓮の葉の形をした杯。石の塊から彫ったとは思えないほど、しなやかな形でした。
陶磁器や書画にまじって、染織絵画というものがありました。染織絵画とは絵画を織物や刺繍で表現したもので、色あせてしまうことから、台北故宮でもなかなかお目にかかれないそうです。特に、宋の時代の織物や刺繍が目に留まりました。
こく絲蓮図軸 南宋時代
濃い藍色の池から茎をのばし、花を開く蓮。奥ゆかしい色あいで、気品が漂っています。こく絲とは古代中国のつづれ織りだそうです。よほど近づかないと織物だとは気づかないのか、皆さん素通りしていくので、じっくり見ることができました。
こく絲和鳴鸞鳳(わめいらんぼう)図軸 南宋時代
宋画を元に織られたものです。芙蓉には栄華富貴の意味があり、婚礼の祝賀に際して飾られたそうです。弦楽器を奏で合う2羽の鳳凰は、夫婦仲睦まじくという願いが込められているのかもしれません。白黒の水墨画が主流だったこの時代、絹糸で色鮮やかに織られたこれらの掛け軸は、どんなに華やかに映ったことでしょうか。
中国歴代の皇帝が継承してきた文物。当時の人々の美意識の高さ、それぞれの作品のたどってきた道のりに思いを馳せると、ため息が出ました。
ぼーっとする時間
投稿日:2014-08-16
一学期の終わりに学校からいただく『夏休みの過ごし方』という便りには、「早寝早起き、規則正しい生活習慣を守って過ごしましょう。」必ずこう書いてあったように思います。「朝、涼しいうちに勉強する習慣をつけ、宿題は計画的に。」どれもこれもおっしゃる通りなのですが、怠け者ばかりの我が家には遠い夢物語でしかなく、夏休み最後の日になって、あわてて宿題や工作に取り組むのが恒例でした。
ただ、言い訳するようですが、学校がある時のように規則正しく過ごすだけの、無駄のない夏休みってどうなんだろう、という気持ちもどこかにありました。いつも時間に追い立てられている現代っ子にとって必要なのは、むしろ、ぼーっとする時間なのでは…そんな思いが年を重ねるごとに大きくなってきました。せめて夏休みくらいは、子どもたちが誰にも管理されない、心のねじを緩める時間を持てるよう、そっと見守っていけたらと思います。
夕立のあと窓を開けると、心地よい涼風が入ってきました。時おり、寄せては返す波の音が聞こえてきます。
目先のやらなければならないこと、背負っているものをちょっと脇に置いて、心をしーんとさせる時間。もしかしたら私たち大人にも、必要なのかもしれません。
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