ピアノ教室コンセール・イグレック♪
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ブログ
音楽のこころ、たずさえて
投稿日:2009-12-19
今朝は一面の雪景色。
暖冬かと思いきや、一気に寒くなりました。
今年は自分の時間を大切にしていろんな勉強をしてきましたが、そんな中で生徒たちといっしょにいる時間をとりわけ大事にしてきました。皆のピアノへの情熱はたいへん強く、上達に向けて一生懸命。こないだも小1の生徒がレッスン室からお庭に出た帰り際、お母さまに「きょうのレッスンどうだった?」と聞いている声がして、すごいなと思う。毎回のレッスンでのアドバイスをきちんと消化してくるくらい積極性がみられるようになると、次へ次へと向けて仕上げのレベルはどんどん上がります。それがYPF、ピティナ、グレンツェンなどのピアノコンクールや日本ピアノ教育連盟オーディションでそれぞれ受賞者が出る結果につながり、またそのコンクールを受けた子たちが皆それぞれに甘んじることなく、次のステップへと誠実に努力している姿を見ると、とても感動します。
受賞などの結果にはいかなくても、この秋のオーディションですばらしく開花した子がいます。この生徒はいつもあいさつも小声で言ったか言わないか。・・・バサッとカバンをフローリングの上に投げすてるように置くと、ピアノの前に座っても足がバタバタ。練習してきたのを1回弾くと、もう集中力がポ〜イとどこかへ飛んでいる。音感はいいし、すこし教えるとさっととらえるし、すこし弾いて音を示せばまたすぐに取りいれる。でもその気もちの在り方にいつもどうしたものか、と思っていた。小学生で、毎週ピアノのレッスンを楽しみに通っているだけならいいけれど、今回オーディションを受けたい、と言う。本番のひと月前を切ってからのレッスンは、叱ってばかりでした。本人なりに緊張感は出てきているのでピアノについてはひと言二言いうだけでさっと入る。でもその態度はだらだらの連続。私はお説教をしているつもりはなく何度も同じ注意をしている訳なのだけれど、それが本人のだらだらした気もちの在り方で、お説教と化してしまう。「こんどオーディションを受けに行くんだよね、もうじきだね。そこにいらっしゃる審査員の先生方はK君にいちども会ったことないのよね。それでこの課題曲2曲弾くと何分かかる?ざっと4分くらいね。とするとじっと4分のあいだK君のピアノを聴いて下さって、それでこの子にはどんないいところがあるだろう?他に、足りないところはどんなところだろう?それでどうすればこれからよくなるか?って真剣に考えて紙に書いて下さるの。わかる?そうやって時間とエネルギーを会ったこともないK君のために使って下さるの。だから演奏の前と後には心をこめておじぎするのよ。感謝の気もちが持てなければいけません。そうやって時間とエネルギーをいただくことのすばらしさをわかるひとになろうね。自分のために時間とこころを使っていただくっていうこと。それはお金を払うからもらえるというものではありません。」そこまで話すとピタッと照準がはまる瞬間を感じた。音楽には規律が必要だという私の信念が、彼の心にひゅっと入るのを感じた。そしてその直後、彼の指からこころからの素敵なピアノが流れるのを聴いた。オーディション後のレッスンでは講評を一緒に読み、噛みくだいてその内容を解説してあげると一生懸命に耳を傾けた。レッスンでもとても積極的になり、自信をもった様子。教える、という仕事は奥が深いと思う。ここぞ、という時には賭けに出る。彼は来春お父さまの郷里に戻るということを聞いているのでもう数カ月しか教えられないけれど今回とてもいい思い出ができて、さみしいという感はない。ぎりぎりまでよろしくお願いします、とお母さまの表情も明るい。いい音楽を一生こころに秘めたひとになってもらいたい、とつよく思う。
こないだの話
投稿日:2009-11-21
さて最近のことをすこし。
そう、この秋は2つのピアノリサイタルを聴きました。
小菅優のオール・ベートーヴェンとベヒシュタインのGPによるピアノコンサートでした。
それぞれとてもいい雰囲気で、楽しめました。でもふか〜い印象はありませんでした。
いい演奏が聴きたいな、と思っていた頃に何気なくBS-hiの番組で深夜放送していたものを録画したのですが、「アルカディ・ヴォロドス・ライブ・イン・ ウィーン」というのにびっくり仰天しました。そのあとにアンデルジェフスキのリサイタルも放送されて録画したのだが、聴けない。・・・(いやぁ、それだっ て実に素晴らしいのに、あまりのヴォロドスの凄さに絶句だったので。)
あのウィーン・フィルのニューイヤーコンサートが催されるウィーン楽友協会大ホールでのリサイタルで、スクリャービンの「白ミサ」といい、リストの「ダン テを読んで」といい、和音が密集していたり連打の部分でも、ものすごく音が柔らかで、なめらかで、カンタービレで、なんだかこれまで聴いてきたピアノの 音ってなんだったの?っていうくらい
違うのです。それでうぅ〜む、と唸ってしまった。何が違うのかしら、と。このごろ譜面の読みが深まりつつあって、譜を読み込んでいるだけで作曲家の世界そ のものに感動することが多いので、演奏のすごさにちょっとやそっとでは動かなくなってきているところがあったので、かる〜い興奮状態。・・・うぅ〜む、 う〜む。ほんとうに音が重なっても濁らない、澱まない、重くならない。・・・そう、このひとはすべての音を横に聴けているのだ。たとえばCの和音をふつう はド・ミ・ソの集合体として聴いてしまうところだが、T・X7・Tの和声でソ・ラ・ソ〜、ミ・ファ・ミ〜、ド・ド・ド〜と横に聴く力、まぁそんな単純な進 行ならいざ知らず、どんな音になっても何声部になってもこのひとは横に横に聴き分けている。うわぁぉ!すごい!こういうのはやっぱり天才的としか云いよう のない才能なんでしょうね。ぱっと一目風景を見ただけで立体的にものが描けちゃう、とかそういうひとたまにいるらしいから、特殊な才能というか、脳の構造 が違うんだなぁ、きっと。横へ横へ聴いてその声部を重ねて音を描いているから混色しないし、すべてが流れていて硬さをもたらさない。凄かった。また再放送 がいつかあるかもしれないので、ブックマークです。
さて秋も深まり、街路樹の紅葉もきれいになってきましたが、こないだ走り慣れた道で1本の樹に赤、青、黄の色が混じって「すっごくきれいだなぁ。」と思っ て運転中に窓から見上げていた樹があったのですね。「でも明日見るとこの味わい変わるかもね。」って自然のせつなに妙に感じ入っていたのですが、次の日走 るとその界隈だけ樹木の枝がなんとぶった切られていて、そう何だか市の緑化作業の一環なのかさっぱり分からないのですが、造園業のかたが来てバッサバッサ 切られていたのでした。思わずキュンとなりましたが次の瞬間、それを見ながら「音って切ないんだな。」と思いました。音って自然といっしょで、その日その 時一瞬の味わいを醸して消えてゆく。もういちどあの演奏を聴きたいと思っても同じ感動ってあり得ない。自然と同じで同じ人が同じ曲を奏したとしても、刻一 刻味わいは変わるもの。そうして私の記憶に残っている素晴らしいライブの音の感動の数々がふわぁ〜っと湧きあがってきたのです。そういう音をこころに持っ てるって、私はいつだってほんとうに幸せです。
そしてまた想念は移ろい、いくら作曲家が楽譜に想いを書きこめたとしても、やはりその微妙な味わいはその作曲家の一時の想いであり、その時代の一瞬であ り、せつないものなのだという気もちがもちあがってきたんです。でもだからこそ、なんていうのだろう、うまく言えないけれど、時代や空間を超えたところの 共有観、世界観みたいなものがなければ音楽を真に理解するってできないんだな、という気がしたのでした。
まぁ、音楽は果てしなく深い。
キンモクセイ
投稿日:2009-10-12
きょうも快晴でした。先日の台風にうって変わって、この3連休はいいお天気でしたね。 名古屋市内は大した被害もなくおさまりましたが、知多や半田市方面ではたいへんだったようです。台風で被害にあわれた方々にとっては、たいへんな連休で あったことでしょう。巷では新型インフルエンザの流行で、学級閉鎖や学年閉鎖の中高も多く聞かれるようになりました。でもそんなこともよそに、行楽地は大 勢の人々で賑わっているし、街は活気を帯びていますね。
今夜いつものように夕食後の散歩をしていたら、公園のキンモクセイがいっせいに花開いたようで、とてもいい香りを放っていました。
私は先週末に御岳に上って、とてもきれいな三段紅葉を見てくることができました。 紅葉などの旬な時期にお天気にも恵まれて、こうした自然の美しい眺めに遭遇するというのはなかなか有りそうでないことなので、とてもしあわせな気分でし た。 雲ひとつない快晴で爽快でしたが、7合目から8合目の登山はなかなかにキツく、もう御岳はこりごり、などと思いつつ登っていったのですが、あまりにいいお 天気についつられて更に9合目近くまで上がりました。三段紅葉と白いダケカンバの対比が美しく、目を見はるものがありました。下山してくる人によると「頂 上まであがると富士山が見えた」そうで、がんばりたかったけれど、タイムアウトでした。
自然と対話できる時間は、私には必須のようです。
こうして自然音に触れるひとときのあと、ピアノの音に触れると、倍音に敏感になることができて、響きが豊かになります。
このところ教えている曲をざっとあげると、初心者、初級者レッスン者の楽譜やバッハやモーツァルト、ベートーヴェンはもちろん、ブラームス:ラプソディ第 1番、シューマン:幻想小曲集、ウィーンの謝肉祭の道化、シューベルト:即興曲作品142-4、ショパン:エチュード作品10-4、10-12、スケル ツォ第1番、ポロネーズ第6番、ノクターン第3番、ラフマニノフ:プレリュード作品32-12・・・etc. レパートリーの曲でさえも教えていていろんな発見があるもの。手がけたことのない曲のほうが先入観なく解説しやすいこともあったりする。いずれにしても楽 譜を丹念に読み明かし、生徒たちのレベルに合わせて語り継いでゆくには情熱と集中力あるのみ。皆、試験やコンクール、それぞれの発表会などを目指してい て、仕上げの時期もまちまち。・・・そんななか、今自分はハイドンやクレメンティなどのソナタに集中している。ピアノというよりピアノフォルテ、クラ ヴィーアの響きの時代で、ロマン派以降の作品も結局は同じではあるけれど、比べてもっと音一つひとつに集中して、勘をめぐらせ倍音の響きを嗅ぎわけ、単純 な音階的パッセージやシンプルな和音の変化に集中しないと音楽になりません。
だから自然音と戯れる時間が、私にはとても心地よく響きます。
夏が短かった分、心地よい秋晴れが続いてほしいですね。
ひと足はやい紅葉を、皆さまに写真で送りします。
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