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井上ピアノ教室


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手作りの布

投稿日:2014-09-13

手芸と名のつくものはすべて苦手なのですが、3年前に習い始めた機織りだけは奇跡的に続いています。


とんとんからり、とんからり。織り始めると楽しくて、時間が経つのを忘れてしまいます。ただ、たて糸を機にかけ、織リ出すまでに、けっこう地味な作業があります。筬(おさ)という長い櫛のようなものや、綜絖(そうこう)という針金の小さな穴に何百本も糸を通していると、修行僧のような面持ちになってきます。できたと思ったら順番を間違えていることに気づき、全部やり直しということも、しょっちゅうです。

 


でも、手間がかかるだけに、たて糸とよこ糸が交わり、思いもよらぬ美しい色が生まれた時の喜びは、言葉に言い表すことができません。その瞬間、途中で蜘蛛の巣のように糸が絡まり、投げ出したくなったことなど、どこかへ吹き飛んでしまいます。とんとんからり、とんからり。織っている時間は、何ものにも代えがたい至福のひとときです。


ご主人様のネクタイやジャケット、お孫さんのおくるみ、友達の帽子やショール…みなさん、織るものはさまざまですが、「手作りのものを届けたい」という人がいるのは、なんと幸せなことでしょうか。

 

工房で、一人ひとりの思いが織り込まれた布を見ていると、ほのぼのとした気持ちになります。万年初心者で、いつも先生や先輩に助けていただくばかりの私ですが、いつの日か着尺を織ってみたいと憧れています。

 


 

 


 


 

 

 

 

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