井上ピアノ教室
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ブログ
疲れた心のそばに…
投稿日:2020-03-24
世界じゅうが未知のウイルスに揺れています。先が見えない、不安だらけの日々。大人たちの動揺が伝わってしまうのか、青白い顔をして、元気のない生徒さんが多いのが気にかかります。
こんな時、縮こまっている心を解き放ってくれるような本が、子どもたちのそばにあったら…と思いめぐらしていた時、ふと、一冊の本のことを思い出しました。
『やかまし村の子どもたち』アストリッド・リンドグレーン 岩波書店
小学生の頃、心配なことがあったりしてストレスが溜まると、うちのわんぱく坊主は決まって、この本を引っ張り出してきて、読みふけっていました。何度も読み返してボロボロになっていますが、引っ越しする時も、どうしても手放せなかった一冊です。
家がたった3軒しかない、北欧の小さな村。何もないところだけれど、秘密基地を作ったり、干し草おき場で寝たり、次々とわくわくすることを見つけ出していく、やんちゃな子どもたち。いつの間にか、やかまし村で一緒に遊んでいるような、愉快な気持ちになってしまう本です。
『やかまし村の春・夏・秋・冬』
『やかまし村はいつもにぎやか』
そういっても図書館は休館中だし、わざわざ取り寄せるのもめんどうだわ、という方は、レッスン室の本棚に、やかまし村シリーズ3冊ともありますので、いつでも持ち帰って読んでください。期限はありませんよ。
みなさんが、つかの間でも、不安な気持ちを忘れることができますように…
『1%の力』を読んで
投稿日:2015-11-10
街路樹も色づき、秋もすっかり深まってきました。秋の夜長、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
14年前に『がんばらない』を世に出した鎌田實先生が書かれた『1%の力』という本を読みました。
書店でこの単行本を見かけたとき、なぜか本に呼ばれたような気がして足が動かなくなってしまいました。「1%は誰かのために」本の帯にはそう書かれていたのです。
若い頃は、子育てや仕事の忙しさにかまけて、まわりを見つめる余裕など全くありませんでした。と言えば聞こえはいいですが、心のどこかに、自分一人が動いたってどうせ社会はすぐに変わらない、とあきらめのような気持ちがあったのかもしれません。
でも、人生の折り返し点を過ぎた頃から「社会を担う世代になったというのに、このままでいいのだろうか?」という問いが頭をもたげてきたのです。
子育てが一段落して、時間にも縛られず、体力もあり余っている私達50代の女性こそ、誰かのために最も動くことのできる世代なのではないでしょうか。
奉仕とか貢献と思うと体にロックがかかったように動けなくなってしまうのですが、この本を読んでいると、不思議なことにちょっと肩の力がぬけて「1%なら」自分にもできるかな、という気持ちになってきます。「1%だけ」誰かのために心や体を動かしてみたくなります。
一生を終えて
のちに残るものは
われわれが集めたものではなくて
われわれが与えたものである
というジェラールシャンドリの言葉がときどき心の中で響きます。
友人のピアノ発表会
投稿日:2015-09-06
日が暮れると、草木のかげから虫たちの合唱が聞こえる季節になりました。
先週、友人が教師をしているピアノ教室の発表会にお邪魔しました。うちの会の時は客席に座ることはできないので、ゆっくりと心ゆくまで聴かせていただきました。
どの生徒さんも、音が際立って美しいことに驚きました。力強い音も決して粗雑にならず、豊かに響いています。自分の音を注意深く聴いて練習されていることが、よく伝わってきます。
ぐいぐいと引っ張っていくのではなく、高きより低きに流れる水の如く、自然体の音楽。ここまで仕上げるには、先生と生徒さんにしかわからない、語り尽くせぬほどの物語があったのでは…と思いを馳せながら聴いていました。
そして何よりも、生徒さん一人ひとりがひたむきに音楽と向き合い、力をふりしぼって演奏している姿に打たれました。
うまい下手を超えた何かに、私たちは心動かされるのかもしれません。
新たな刺激をたくさんいただいて、また明日から新鮮な気持ちで生徒さんと向き合えるような気がしてきました。
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