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ピアノを弾くための<5つの指体操>とピアノ演奏への基本リンク

投稿日:2018-08-08

先の春のブログに書きました『ピアノを弾くための<5つの指体操>とピアノ演奏への基本リンク』について、ずっとどのように皆さまにご案内しようか、考えておりました。

さまざまな考えを経て、ようやく次のような思いに至りましたので、解説してゆこうと思います。

私は幼児入門から小学生〜おとなの方までの初心者レベル〜専科までの、およそすべてのレベル、すべての年代の方々を対象に、ひとりでレッスンを担当しています。

あまりに、とりあえず弾ければいいや、とか楽しく鍵盤叩いて音遊びできればいい、といった趣向の方には不向きかもしれませんが、早くからきちんとした基礎力をこどもに身につけさせたい、というお母さま方や、きちんとしたピアノの弾き方をあらたなピアノレッスン再開でどうしても獲得していきたいといった社会人の方々に「先生のようなご指導をしてくださる方に巡り会ってほんとうによかった!」と言っていただけることは私としても大きな喜びです。

 

私はフランスで、国際的ピアニスト ジャン=フィリップ・コラール氏のレッスンを受講し、そのクラスで得た知識を演奏経験のもと長年にわたって探求してきたピアノ演奏のための合理的テクニックを生徒たちに伝え、短期間に変化上達する姿を垣間見ていますが、そこでとくに小学学年以上からおとなの方々に、このピアノ演奏のための基本と「き」となる5つの指体操の一部を、このHP上でまずお伝えしたいと思います。

 

ピアノの鍵盤は指で弾く、とは当りまえのような考え方ですが、指の第1関節から第2関節辺りの意識で弾いている方がとても多く見受けられます。 

これについては、幼児入門の最初の1年くらいはそれでもなんでも構いませんが、バイエルやメトードローズなどの初心者テキストのアルベルティバスの伴奏が入ってくるころからはしっかりと見守ってゆく必要があると私は思っております。ピアノを弾く基本は第3関節からの大きな動きのもとにあるべきで、ものをつかむ動作の延長線上に指先というものがあり、その指先がピアノの鍵盤に触れ、触れた後も手はものをつかむ動作を継続してゆくと指先は鍵盤をおり、鍵盤の底まで到達した時音が鳴るという訳です。ですから指先以外、指の第1関節、第2関節には何らテンションはありません。

俗に言う、手の形を作る、手のお山を作る、といったことが次の練習からわりとスムーズにできるようになることでしょう。


<@の体操>

まず、ドレミファソの場所に5本の指を置きます。

1.このとき、手の形はこのようにはなっていなくても構いませんので、指の向きが鍵盤に対して平行になっているかだけ注意しましょう。


2. 1指をゆっくりと下方向へ下げてゆき、PPの音でよいですので音が鳴っても下への運動を継続し、3.図まで下げてゆきます。

 3. 指はを指します。

 

4.その後、来た道を辿って今度は上方向へまっずぐ上げてゆき、そこから最初の1.図のポジションに戻ります。

5.2指も同様に。1.から下がり切ったところ。

6. 上に上がり切ったところ。

 

こうして、1指から5指まで、指体操します。

ここで大切なことは2.の打鍵で、決して強い音で無理に音を出さないことです。

1指だけは5本の指のなかで特異な構造をしていますので、なかなか最初のうちは真下、真上の感覚がむずかしいと思いますが、2〜5指はわかりやすいと思います。5.図では手の甲、6.図では手のひら側のストレッチになります。4.図、6.図では決して高く上げることが目的ではなく、手のひら側のストレッチが大切です。この時、手首まで持ちあがることがないように注意しましょう。

 

<Aの体操>

次に、音出しです。これは私がフランスでパスカル・ロジェ氏のレッスンで、基礎になる練習法を教えてほしいと希望し、直々に教えていただいたものの最初のものです。

1.図と同じポジションに置き、4.図のように指を上にもってゆき、そこから下げて打鍵をします。これは一見ハイフィンガーの練習のように誤解を招きやすいですが、上から鍵盤に触れた瞬間を触感で感じとること、そしてそこから鍵盤の深さが10ミリですから、その10ミリの触感をまず体得することが大切です。音の大きさは自由ですが、力まない自然な強さが理想です。

慣れてきたら、鍵盤に触れて鍵盤の底までいってもなお下方向へ持ってゆく感覚(@の体操の3.図、5.図の動きの発展形であり、これが鍵盤の深さをコントロールする基礎力となる)を鍵盤のなかでキープします。(指自体は鍵盤に留めておき、鍵盤の下方向まで行きません。)この感覚こそが圧をかける下地となり、のちのち響きのコントロールをするのに役立つ基礎力となります。

 

Aの練習の意味がこの文面だけで理解できる方は、相当タッチのことを気にかけてピアノ練習なさっている方だろうと思います。

なかなか文面で説明し切ることは難しいとは思いますが、しかしながらAの練習が@の練習に基づいていることはおわかりいただけるでしょう。ですからまず@の練習をおこなってみてください。2〜3か月で第3関節が出て、自然と手の形が安定してくることでしょう。そうでない場合はなんらかの間違いがありますので、レッスンにお越しください。

そしてAの練習の意味がわかり始める頃には音がきれいになってくることでしょうし、上級者ではハーフタッチの如何がおぼろげながらにわかりかけてくるのではないでしょうか。このように初心者から上級者まですべてのレベルにおいて有効な体操であると思います。

@の練習は、とくにブランカール著の「初心者のための ピアノテクニックの基本的原理」(全音出版)にも出ていますが、その効用もふくめて解説させていただいた次第です。


春以降グループレッスンやレクチャーなどの形式も考えたのですが、やはり個人個人の手の長所、短所はどなたにもそれぞれありますし、こうした正しい基本テクニックとそれらをどのように曲につなげ、発展、上達へのリンクとしてゆくか、それはもう各生徒さんそれぞれだと思いましたので、こうのような形にさせていただくことにしました。

こうして手と鍵盤がすこしでも仲よくなってくると、小学生辺りですと同時にたくさんの曲がみれるようになってきますし、中学生以上ですとスケールやハノンなどの見直しをされてもよろしい(お薦めは「ハーモニックスケール」マリア・ティーポ著 全音出版、「BASIC HANON 伊藤仁美著 ハンナ出版」)ですし、上級者にはハーフタッチの準備練習として展開してゆくことができます。

私のピアノレッスンでは、このほかに<Bの練習><Cの練習><Dの練習>として、手首の柔軟性と響きある音色作り、正しいlegato奏法へとつなげる体操へと繋げてゆくことになります。

その基になるものはここにご案内しました<@の練習><Aの練習>で、効果が出てくるにはやはり2,3か月はかかりますので、ぜひ皆さまご自身でやってみてください。


2〜3か月ご自分で練習されて何となく形になってきたら、そしてこのような練習による基礎力向上、テクニックの見直しにご関心が芽生えましたらぜひレッスンのお問合せをいただければと思います。


<5つの体操>のレッスンでしたら1回20分で対応いたしますし、ハノンの効果的な練習法とスケール練習へのリンクを含めてでは1回30分、これらの体操と先に挙げた「初心者のための ピアノテクニックの基本的原理」の各テクニックと体操との応用関連解説と正しい練習法も1回30分または45分で教えます。また現在練習なさっている曲とのリンクということでしたら、1回45分または60分のワンレッスン制ピアノレッスンでみさせていただきます。


とりわけ<5つの体操>はピアノ学習者のほか、リハビリ療法士、介護士の方々にも使っていただけるメソッドであろうと思います。


大人の方々でピアノを弾き続けたいという方には一流のピアニストたちの音色がイメージとしてある場合が多いので、こうした正しい基礎の見直しは有効であろうと思われますし、子どものピアノ学習者は近くにいる先生が弾く音がお手本ですから、指導者の方々は決して難曲である必要はないですが小品でも素敵な音色で演奏をしてあげることはとても大切なことだと思っています。


ピアノという楽器の正しい理解と正しい手、指の使い方を一人でも多くの皆さまに伝えてゆきたいと思う次第です。


 

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