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ピアノ教室コンセール・イグレック♪


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秋色って何色?

投稿日:2015-09-03

9月に入り、雨の日が続いています。

 

8月は嬉しいことがたくさんありました。

現在東京の音楽大学の付属校に通う高校3年の生徒OBが、夏休みの帰省で遊びに来ました。室内楽や指揮にも関心を寄せていてアナリーゼの勉強にも熱が入っているとのこと、将来が楽しみです。12月の私のリサイタルプログラムをみて「この即興曲の2番、好きなんですよ、左のオクターブが連続するところ難しんですよね!」など、頼もしいリアクションで愉快なひとときでした。

 

お盆休みには「日本クラシック音楽コンクール」の審査にでかけました。

今年は幼児部門〜中学生にかけての部門を審査しました。

とてもいい指導を受けているなと思わせる演奏も数多くあり、感心しました。

年齢が進むと、もっといろいろなタッチによる音色変化を知っていたら表現力が増して素敵になるでしょうに、とか、ここのところの譜面の読みかたをすこし変えたらもっともっと音楽が流れるのに、といったところがありました。でも、今でも耳に残っている演奏もあるほどです。とても集中したいい演奏が目立っていたと思います。

 

この夏にかけて、3人の新しい社会人生徒さんに恵まれました。

みなそれぞれの環境にありながら音楽に対してとても情熱的で、日々の練習についても前向きです。最初の1,2回は様子見ということもありますが、折角レッスンを受講するのならと私のほうもどんどん的確な指示をズバズバ言うことにしています。社会人の場合、学生の時からのブランクを経て再スタートということがほとんどですから、この再スタートの機会をほんとうに実りあるものにしていただきたいからです。

 

また、教室の最高齢60才代の生徒さんが、なんと遂に「ツェルニー30番」に入りました。これはスゴイことです。                     

初めていらした時に持ってきた月光ソナタの、それはそれはちょっとなかなか手ごわかったこと。一般的に大人の生徒さんは弾けたら〇というレッスンのはずですから、それはだいたいわかるのですが。・・・リズムの理解や拍子感、手のくせ、指のくせ、あらゆる面でいろいろな癖が出来上がっていましたから、そこからの長い道のりは彼女の粘り強さと努力の積み重ねによるものです。頭が下がります。

春の門下生コンサートでは、モーツァルトソナタの緩徐楽章を表情豊かに弾きました。そしてほぼ全生徒にやらせている「スケール練習」もこのところ美しく弾けるようになってきたと思ったところで、「ツェルニー30番」入りです。軽やかさが決めての、その中にあるテクニカルな要素を論理的に把握できるようになりましたし、何より本人がとりあえず弾けてももっともっと音楽的に掘り下げようとするようになってきました。ほんとうに素晴らしいことです。

            

「私はちいさいお子さんたちのようにいきませんから。何度テクニカルなことを言われても、左の耳から右、でして。」と口癖のように言っていましたが、この頃言わなくなりました。私がテクニックのどこに注意するのか解説しながら弾いて聴かせると、レッスン中にさっと消化して上手く弾けるようになったからです。これってほんとうにスゴイことです。

私のほうもこの生徒さんのお陰で、テクニックは年齢に関係ない、と確信をもって言えるようになりました。結局「テクニック=一番弾きやすい方法」ですから、どんなに表面上弾きやすいからと、わるい癖がついていても、最終的には身体と耳が覚えることです。

年齢に関係なく、わかるひとなら必ず上達できます。

 

 

また最近入会された生徒さんには、「先生のお教室はコンクール受けるようなレベルの高い生徒さんばかりでしょうか。」と立て続けに聞かれました。

この夏コンクールを受けた生徒は2人だけ。それも本人から受けたいと申し出た生徒です。そしてたまたまひとりは予選優秀賞と奨励賞、ひとりは飛び級チャレンジで参加どまりでしたが、先のひとりは、2度の予選チャレンジで思いがけない経験をすることになり、また本選レベルの高さを知り、コンクールに必要なものを肌で感じ、大好きなピアノへの思いを新たにしています。後のひとりは、「今回のコンクールではすごくいい勉強になったし、練習も自分からよくするようになって嬉しいです。」とお母さまからお話を伺いましたが、まだ年齢も幼いのでちょっと難しい曲だと練習にむらが出ることもあります。それでこないだ「先生も練習するのよ。」と手がけている難しい楽譜をみせながら、「あ、そうそう。みんなのやっている曲はね、ごめんなさいね、先生にとってはやさしいからすぐ弾けちゃうのね。でもこうやって自分の曲は先生もいっぱい練習するのよ、それでむずかしいところは取りだして何度もさらうの。わかる?」というと、すっごく嬉しそうに目を輝かせてくれました。生徒さんたちの曲は初見でバンバン弾いちゃうから、小学生たちくらいの年齢だといやになっちゃうのでしょう。気もち、わかります( ^^) ~~

そんなやり取りの後のレッスンでは、彼女は自分のペースに目覚めたかのように集中をみせています。これから自分がやるべきことに気づきが持てるように心配りながら、しかしズバズバものは言う私です。彼女の音楽もすごく素敵で、二人ともこれからが楽しみです。ふたりがコンクール結果に留まらず、自分の音楽に前向きに取り組んでいる姿が、私には誇りです。

 

コンクールを受けるとなると、教師は生徒または生徒ご父兄の音楽への構えがコンクール前後でどう変わるかを十分観察してゆくことが大切と考えています。コンクールはコンスタントなレッスンライフのなかで実力の発表の場であるべきで、真摯な練習の積重ねがもちろん必要なうえに、採点結果という現状をどう受けとめ、前に進んでゆくのかを、生徒、ご父兄、先生が三者一体となって、コミュニケーションを深め、今必要なことは何かとらえてゆく必要があると考えています。コンクールに飲まれることなく、また結果がよくても悪くてもコンクール結果に振り回されることなく、自分の音楽を見つめていなければならないからです。 

 

ちょうどトリオのコンサート前に、東京音大で同期だった現在中学校の先生をしている声楽卒の友人から連絡があり、教えている学校の合唱部が8月のコンクールに進み、急きょ伴奏曲をレッスンしてほしい、と県外から駆けつけてきました。

曲を聴いてみると、転調に次ぐ転調、拍子の変更、左右にまたがるアルペジオの音型、和音の入ったパッセージなど、かなり難しそう。指使いなど訊いてくるが弾いたほうが早いか、と椅子を替わり、弾いてみました。「なんで初見でそんなに・・・。指がきち〜んときれいに動いているから、きれいな音になるのよね、うわぁ!」など言いながら、何かしら参考にはなったようで、その後弾く彼女の音はみるみる変わっていました。そこはやはり、さすがです。

その後、「9日の三重県合唱コンクールでは、銀賞!」との嬉しい報告。指が痛くなるほど練習したそうです。おめでとう!ほんとうに素晴らしい。

先日「学校音楽コンクール」での模様がNHKで放映されましたが、彼女の輝くような音色が印象的でした。 


 

さて今週から学校も始まり、久しぶりの授業でちょっと眠たそうにレッスンにやってくる小学生たち。

聴音のワークブックの色ぬりでいつも通り「好きな色で塗りわけてね。」と言うと、「秋だから紫、それと栗色の茶色、紅葉のオレンジ色、もうひとつ何にしよう〜?」と秋色で塗っていた小学1年生の生徒、きょうも素敵な感性をみせてくれていました。


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