ピアノ教室コンセール・イグレック♪
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ブログ
インスピレーションへの旅
投稿日:2015-02-10
2月に入り、最強の寒波到来とか。
雪の多い地方の方々には、ほんとうにたいへんな季節だと思います。
1月の最終日曜は昨年から米子まで出かける予定が入っており、18日にはライナー・ホーネック&児玉桃 デュオリサイタルに続き、毎週末コンサートに足を運ぶ形となった。
昨年12月のX'masコンサート最終公演の3日前、チケット申し込みの連絡等をチェックしパソコンを切ろうとした矢先、Facebookにメッセージが入った。「おや?」と思って開くと「1月25日、あいていたら冬の皆生温泉、カニすきは如何ですか?」米子で波多野睦美さんと高橋悠治さんのコンサートがあり、その後温泉に出かけようというもの。お誘いの主は、東京在住のピアニスト青柳いづみこさん。コンサートが終わったらあれ食べたい、これしたい、・・・なぁんて考えていた頃だったのでこれはいいなって、たまたま日程はバッチリお休みの日だし、乗換検索で調べたら「名古屋〜米子」、14時開演のコンサートに4時間くらいで行けそうだし、二つ返事で「行きます!」と返信を打った。
しかし考えてみると、もし雪が降ったら東京から飛行機の青柳さんは飛べないし、私のほうが家を先に出る恰好なのでよわったが、そこは生来お天気女の威力発揮で、出発日は東京も名古屋も米子も青空のいいお天気。
(雪の大山)
米子市文化ホールで待合せ、波多野睦美mezzo-soprano&高橋悠治pianoデュオコンサートへ。高校時代からのファンである、作曲家でピアニストの高橋悠治さんは、私にとって人生を分けたひと?!私が初めて自分でチケットを買って出かけたコンサートが、高橋悠治が弾くジェフスキーの「不屈の民変奏曲」の演奏会だった。林光さんが解説をするということで、今はない雲竜ホールに足を運ぶと、林さんと、何とこれから演奏する、という悠治さんがふたりでチケットもぎりをやっていて大層たまげたのを覚えている。その時の演奏は衝撃的で、当時は「音楽年鑑」というのが高校の図書館にあったので、ダメもとで林光さん宛に「この時の録音があったらダビングできないだろうか。」という主旨の手紙を送った。そうしたら後日「東京、名古屋、大阪と同じ演奏会があったが、貴女が言うように、名古屋がいちばん素晴らしかった。残念ながら当日の録音はないが、もうじきコジマ録音からレコードが出版されるから楽しみに。素晴らしい音楽が貴女のもとにありますように。」といったお返事をいただいたことがある。その後大学進学を迷ったとき、「悠治さんのような音楽家がいるのなら東京の音大に進学するのもわるくない。」と思ってしまったのだった。
メゾソプラノの波多野睦美さんの声はたいへんナチュラルで、ひとの心をつかみとってしまう魅力がある。曲の解説、進行と歌声を曲線で結んでしまう、独特な彼女の空間にあそんだ。コンサート後は会場近くで親睦ティーパーティがあり、悠治さんといろいろなおしゃべりが出来て、思いがけなく楽しいひととき。
その夜は「桔梗屋」さんで蟹のフルコースを堪能。皆生ではオーシャンビューのホテル、潮騒を聞きながらの温泉は最高でした。
翌日は松江散策。「怪談」で知られる小泉八雲の生家と記念館へ。
(八雲の椅子)
青柳さんはご自身も筆達者でいらっしゃるし、こうした記念館にとても関心があるご様子。私がたとえば高校時代の友人とでも来ようものなら、ササーっとものの10分くらいで通り過ぎてしまいそうな展示作品をとても丁寧にひとつひとつ考証しながらの鑑賞に、私自身も楽しめた。
八雲は、当時はめずらしいギリシャ人と日本人のハーフとして生まれた子どもたちにもとても尊敬され、愛され、こうして遺された資料は松江の町にも親しまれ、定着している。
話が江戸川乱歩にも及び、・・・私の母方の遠縁にあたるのだが、うちの親戚筋には結構風変りで通っていたらしく、あまり話したがらない。私は乱歩の著作を読んでいるととても落ちついた気分になれるものだ。ものすごく几帳面で研究熱心な洞察、客観性に富む語り口。・・・母は、長老の親戚たちが元気なうちに話を聞いとかなくちゃ、とよく呟いているが、東京に乱歩の記念館もあるらしいので、いちど訪ねてみたい。
お昼は青柳さんがぜひ行ってみたいという鰻屋さんで宍道湖産のうなぎに舌鼓をうつ。終始気さくな会話を楽しみ、片や大阪、片や私は高松へと向かった。
この日15時に大阪へ向かうと旅行に出かける前日に聞いた私は、そのまま名古屋に帰るか、倉敷にプチ滞在してくるか等考えてはいたが、岡山から南にむかって高松へはどのくらいなのだろうか?とハタと思いが過ぎった。
調べてみるとマリンライナーで50分!
高松にはイサム・ノグチ庭園美術館があり、以前から行ける機会があれば、と思っていたのだった。ただこの美術館、週に3日しか開いていない。調べると、火曜日、開館日だ。予約はハガキで申し込み、となっているが、即電話を入れてお願いしてみる。
次に高松の宿。ネットの宿泊検索で、駅前のリーズナブルなホテルがヒットした。ここまで来たら、出かけるしかなかろう。
年少の生徒が多い火曜日のレッスンは、急きょ休講にさせていただいた。ネットの旅ブログでは、イサム・ノグチ庭園美術館の近くにストーンミュージアムがあることがわかり、この2つの目的をしたがえ、あとは現地の情報で。
次はJRチケットセンターにTEL。「名古屋〜米子〜高松〜岡山〜名古屋」と周遊するにはe-特急券のほか乗車券を通しで購入した方がベターだということ。レッスン前にJR大高に走った。発券してもらったチケットは次の通り。
ユーレイルパスの旅をはじめ、欧州での鉄道旅行の経験は多いけど、こんなに日本のJRを乗り継ぐのは生まれて初めて、かも。しかしながら駅の窓口で「いやぁ、日本語はいいなぁ。」って思ってしまった。数年前にシチリアを旅した時のことを思い出したのだ。イタリアならチケット取れるだけで御の字だ。
「帰りは高松を何時に出るか決めていないのですけど。」「それじゃ帰りは自由席にしておきましょう。」「はぁ、で、行きは指定のほうがいいんですか?」「この時間はかなり混み合っているようです。指定席料金は310円ですが。」「ではそのように。」・・・日本の旅、いいかも!
高松は思っていた以上に、とっても楽しかった。この日は快晴で、小春日和。
ホテルのパソコンを貸してもらって調べたバスに乗り、ストーンミュージアムへ。
石を眺めているとこころが落ちつく私は、ひとつひとつの作品をゆったりを鑑賞し、2階にあがるとミュージアムショップになっていて、買込んでしまった。それからショップの人が教えてくれた老舗のうどん屋「山田家」まで歩き、小休止。 周りには喫茶店のひとつも見かけないので、ここで抹茶ラテまで楽しんだ。
(看板メニューのぶっかけうどん380円と生卵)
またてくてく歩き、イサム・ノグチ庭園美術館へ。13時の予約だ。
ここは本当にいい空間だった。清々しく質実剛健な佇まいは圧巻。
作業蔵のある庭園と、イサムが暮らした家、イサムが作った小高い丘のある彫刻庭園のあるブースの2か所から成る。
イサム・ノグチが、凛として己の人生を生き抜いた証しを感じた。
(絵ハガキより)
このあとバスの案内所で手に取ったパンフレットをみて、城岬公園へ。車道をテクテク歩いていた私、・・・なかなかひとと出喰わさなかったのですが、ここへ来てやっと人影が。車で乗りつけ、散歩している人たちがたくさんいて、地元に愛されている感がした。ここでの作品群、意外にも見応えがあり、また石の町牟礼、庵治の海を楽しむ。
次に庵治町支所に行き、ここの2階展示場でもまた庵治育ちの彫刻家三枝惣太郎の作品に出会った。
高松駅前の発展ぶりは相当なものだが、そこから3,40分もバスで走った牟礼の町は人通りも少なく、ほとんどが車で移動しているので、私のように徒歩で歩いているひとをまず見かけない。ストーンミュージアムやイサム・ノグチ庭園美術館などの見どころの近くにも何のお店が隣立しているわけでもなく、かなりの距離を歩かないと何もない。バス停で待っていてもひとはいないし、道を尋ねようにもひとがいない。
立寄ったうどん屋さんでイサム・ノグチ庭園美術館までの道を聞いても、教えてもらったのは車道の道。「10分ほどで行けますかね?」と聞くと「えぇ、充分に。」と。・・・でも歩けど歩けど、まだ着かない。・・・車での所要時間なのだ。
土地の人たちに人懐っこい感じはない。でもここの空気はのどかで、おっとりとしたおちつきがあって、海からの風が心地よかった。
米子での懐かしい思い出のある高橋悠治さんのコンサート、機知に富むA,Oさんとの会話、イサム・ノグチ庭園美術館での印象、石の町牟礼での見聞。・・・
なんだか年明けから、とんでもなくインスピレーションを刺激された旅となった。
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