ピアノ教室コンセール・イグレック♪
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ブログ
レッスン室こもれ話
投稿日:2014-09-27
こないだ東京に出かけました。
その話はまたとして、東京に着いた日の夜、小4生徒のお母さまからメール。
「息子は右腕を骨折してピアノが弾けなくなりました。これからのレッスンについて次回相談させて下さい。」
うわぁ〜、何週間?ひょっとして何か月???たいへん〜。
お休みする、って言うのかなぁ?
けど、即、私のアタマに閃いたのは、「<幻想即興曲>の左手をやったら?」ってこと。
それでレッスン日になってそうお話すると、「いや、家でも左手を練習するいい機会を与えられたのかな、って話していたんです。」と言われる。
まぁ、なんて前向きで素敵な発想なんでしょう。
そこで、d-mollのスケールをやった後、読みかけのインベンション第4番d-mollの左手をいっしょに譜読みし、それから読譜したてのショパンワルツ第10番原典版の左手をみっちり。
アフタータッチの話で彼の関心を引き、「コンマ何秒の世界だけどゆっくり打鍵するとこんな音、速く下ろせばfの音だよね、わかる?」・・・いつになく素直〜に聞いている生徒。
とてもていねいに発音に集中して、スッゴイじゃん?!
「そう、左手のワルツ・バスの和音はこんなくらいの音で十分。」と、こんどはガチャガチャとふつう〜の神経で弾いた左手に右メロディをつけて弾いて聴かせる。
「どう?せっかくのメロディを壊しちゃうよね。」
そのあと「幻想即興曲」を弾いてあげると、「え、この曲を僕がやるの?」って心なしか顔赤らめて、かわいぃ〜(^^♪
「このなかの左手ってこんな感じよ。ふつうに強く弾いてしまうと<幻想>って感じする〜?」
「いや、ショパンの即興曲は4曲あって、<幻想>ってタイトルがついてるのはこの曲だけ。あ、でもこれはショパンがつけた訳じゃないんだよね。それでフォンタナ版のほうが有名になっちゃってるんだけど、そういえば最初の左手のところの音がすでに違う。フォンタナ版はこう、・・・で原典版はこう。どっちが簡単?」「フォンタナ版。」「そうなんだよね、でもショパンが書いたほうとどっちがいい?・・・だよね、簡単だからって書き換えちゃうなんて怪しからん。だから原典版でぜひやろうね。」って、まぁそんな話はよしとして。「こんな左手の音だと、カクカクはっきり現実の音?になっちゃうよね〜。だからさ、molto legatoで、さっきのワルツバスみたいに繊細なタッチで弾かなきゃね。これから練習していこうね。」って。
この音バランスの比に、もう彼はダンボの耳!・・・
全体のなかでの、左手の音の美しさに触れた彼。
こうしたことへの気づきは、ありきたりの生活での尋常な神経ではなかなか難しい。
どうかこの生徒にとって有意義な時間となりますように!(^_-)-☆
夏〜秋へ・・・ピアノ演奏の奥義に触れる
投稿日:2014-09-08
8月に入り梅雨のようなひと月が去り、9月に入って爽やかな晩夏の感。中秋の名月も迎えましたね。
皆さま、お元気でお過ごしですか。
ブログ、ずっとご無沙汰してしまいました。
7月の終わりに開かれた中部ショパン協会ピアノコンクール本選に恩師小林仁氏が来名されたので、伺いました。聴いたのは高校生部門でしたが、私が気になった上位5人の全員が、第1〜3位ほか奨励賞などの受賞者に入り、よかったです。金賞を受賞された参加者の「ソナタ第2番」は、圧倒的によかったです。表現力が素晴らしく、また表現を大切に勉強してきてそこから学びとったであろテクニックも充実していました。高校生部門ひとりめにしてこんなに上手いからびっくりしましたが、ダントツでした。 銀賞に選ばれた方の「バラード第1番」は、とても軽やかで舞踊の要素が出ていて、素晴らしいと思いました。でも同じ曲の演奏が多い中、こういった方向性の演奏がどう評価されるのかなと思っていましたが、銀に入り、ほっとしました。
小林先生はとても変わらず、お元気そうで嬉しく思います。先生にはやはり指揮者的なところがあるのかなぁ? dirigerの感覚。高校時代からいつも言葉少なではあったけど、こっちだよ、みたいな牽引力があり、聴いて頂くだけで方向づけられるという力強さがありました。先生には仕事上の信条とかこころの在りかたについて、今もって厳し〜ぃことを穏やかぁ〜な言葉で、ご示唆頂くことも!
8月には、高校のクラスメイトと奈良、京都への1泊旅行。
泊まった奈良ホテルの雰囲気は、とても落ちつくひとときでした。
明治42年に「関西の迎賓館」として創設されたというこのホテルは、吹き抜け天井がとても高く、木の温もりが感じられてとても穏やか。アインシュタインが来日する直前に船の中でノーベル賞受賞のニュースを聞き、日本に滞在中にここに泊まり、ロビーにあったピアノを弾いたということで、そのピアノの前での写真です。
お盆休みには小学生同期生とカフェ巡り。日ごろは違う範疇で活躍している同年代とのお喋りは楽しいもの。
お盆が明けて、日本クラシック音楽コンクールピアノ部門の審査にも行きました。今回は中学生部門の審査でしたが、当日はたまたま石黒美有先生とごいっしょで楽しいひとときになりました。審査でいろいろな演奏に立ちあうことは、いろいろなことを考えさせられる機会となり、勉強になります。80歳まで仕事を続けると仰る小林仁先生を見倣い、いやはやまだまだ云十年という日々を音楽の研鑽に費やしてゆこうと思ったのでした。
それからしばしして、パイプオルガン初体験!徳岡めぐみ先生の短い説明のあと、いろいろな曲を弾かせて頂きました。まずサティ:ジムノペディに始まって、バッハ=ケンプのシチリアーノ、モーツァルト:幻想曲ニ短調。・・・その間、先生は左右についた音色を変えるストップをひっきりなしにチェンジしてくださるのでした。
最初は繊細そうな鍵盤を壊しちゃいけないと思ってか、こわごわ押していたのですが、だいぶ慣れてきた頃、「こんなパッセージでも大丈夫なんでしょうかぁ?」と幻想即興曲の出だしを弾くと、意外に平気ではないですか。「では。」と言って、ラ・カンパネラを弾き始めました。先生はストップの変換に大わらわ?初めは最初の1ページめの音価のところだけ、と思っていたのですが、結局コーダのところは耐えられないでしょう、というかここで(私は昼の一番手の弾き手でしたから)壊しちゃいけない、と思いとどまり控えましたが、レチタティーヴォのパッセージの響きの美しさは、今思い出してもゾクゾクします。めっちゃくちゃ面白かったです。
すべてのストップを使いこなす先生の姿に「先生の頭はパソコン並みですね!」と大はしゃぎの私!いや、専門の楽器を離れて楽器を奏すというのは、こんなにも面白いものか、って。で、そこからまた自分の楽器に戻ったときの幸せ感というのもすごいです。
という訳で、その後は地道な(ホントでしょうか〜?)練習を続け、私にとっては1998年のジャン=フィリップ・コラール氏のレッスン受講以来のフランス人教授によるレッスンとなったYves Henry先生のレッスンを週末に受講することが出来、また幸せな体験でした。
とはいうものの当日はなぜか一等練習ができていない曲を弾く羽目にはまって(◎_◎;)〜しまったのでしたが、まぁ私がレッスンを受ける時ってあんまり練習していないのはいつものこと。すごくよく練習してくる生徒にも言いますが、自分の考えでカッチリ固めてしまうような練習で纏め上げてしまっていると、先生の指示は耳に入りにくいもの。とは言え、悠長にレッスン日間際になっていろんな本を読み返していたよねぇ。けどそのおかげかしら、倍音や演奏テクニックの理論書から得たヒントがそのままバッチリ繋がるレッスン展開。・・・手短かな挨拶のあと「Unfortunately, I couldn’t practice enough.」と言って始まったレッスンは、先生の説明が始まってすぐに「Ah, I was doing useless movement!」とヒットしたのでした。そのあとものすごく細かな指示が綿々と続きましたが、そのレッスン成果はその後の毎日の復習でいろいろなレパートリーへと繋がりをみせ、maxに向かっています。
しかしながら地道にいい練習を重ねていたというか、自分のopinionを客観的な考察とともに時間をかけて推敲していた曲のほうが弾けなかったのはさすがに心残りで、一日のスケジュールがすべて終わったところで、舞台裏の先生を伺った。手がけていた曲で3/8に換わるところはHemioliaと解すべきか、endoyerの感じを出すにはそう捉えるのもありとも思うが、私には普通の3拍子の感覚が優先する、またそれとは反対に182小節からはスラーでの3拍の纏まりがあるけれどどうしてもヘミオラに感じてしまうのだが、と質問を投げかけた。楽譜を手に「1and2and3and・・・」と確認を促しながら話すと、コンサートが終わったばかりというのに、先生は丁寧にメロディを口ずさみながらお答えくださった。結局は自分の意見は先生と同じで嬉しかった。が、それだけのことではなく、もちろんそこに到達するには絶ゆることのない研究と考察が常に必要と思うわけ(周囲の諸先達の音楽家たちをみていればジンジンわかります(*^^)v)ですが、「最終的には、演奏とは自分の磨きあげた感性がすべてを担う。」・・・先生のきっぱりとした指示の抑揚から、そう確信しました。
音楽は、音響という宇宙。
音響をあつかうのに倍音のイメージ抜きには語れない。
また音楽は音響の瞬間の連続であるから、演奏とはその瞬間瞬間がcreativeなる行為にほかならない。そのための探求心と集中は、ものすごく楽しい。
フランスのアカデミーに出かけた際垣間見みたように、自分の楽器に対するテクニックの考察は演奏家にとっては必須だが、先日パイプオルガンを奏でる傍で音色の変換キーであるストップを先生に随所で替えてもらって弾いた時のように、音色変換キーを自分の耳で駆使しながら<sonoritéを創ってゆく> という喜びを得たのでした。
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