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ピアノ教室コンセール・イグレック♪


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懐かしの東京〜2014年に向けて

投稿日:2013-12-31

2013年は、思いがけずいろんなことがありました。

前年まで生徒たちのためと思ってがんばってやってきた補講を必要最小限にしぼり、たくさん小旅行をしました。

図らずも20代の頃、音大出て間もなかったこ頃のようにのんびりできました。

 

8月の横浜に続き、9月には東京へ。

東京、というと高校時代からレッスンのため、演奏の仕事のため、先生のお祝いの会やセミナー出席のため等何某か音楽と関わりのあるものでしたが、今回は遊びがメイン。こんな風に東京を味わったことってなかったので、とてもこころが和みました。

 

初日は東京都美術館に出かける前に少し時間があったので、上野からバスに乗り、六義園へ。

ここは大学1年の時に出かけたことがある場所。GWすぎだったかなぁ。

学生寮からも近いところで、都民の知るひとぞ知る公園。

 

とても端正できれいなこの公園、一歩踏み入ったところですごく懐かしく思い出された。

学生活にすこ〜し慣れたころだったな。あれから苦しくも楽しかった大学生活が懐かしい。

 

            

 

そこから上野の都美術館へ。母が所属する一水会の全国展が開催中であった。

母は2006年から8回の連続入選。8回はおめでたい、ということで私も駆けつけたもの。

 

 

パーティ出席の母を残し、そこからまたバスを乗り継ぎ、目白台・椿山荘へ。

ひとり先にチェックインし、椿山荘の庭園には三重塔もあるほどの広さで、ここの無茶庵でお蕎麦を食べる。

東京タワーとスカイツリーの両方が見える部屋に戻り、シャンペンを開けてリラックス。

 

ここ椿山荘のアフターンティの紅茶は本当に美味しかったです。

翌朝はホテル近辺のカテドラル教会から散歩をしていて和敬塾の前を通り、あれ?と。私が通っていた東京音大の学生寮はこのホテルの界隈にあるのだが、和敬塾(男子大学生、院生向けの学生寮)の寮生との合コンにでかけたことがありました。あ、こんな近くだったんだ〜。しばし学生時代を偲ぶと、そういえば〜、と或る合コンのことを思い出しました。

東大生のグループで、いろんな家柄の方々がいて、そんな中「ピアノをずっと習っていまして、(某東京芸大教授の名前を出し)〜〜先生にずっと習っていたのですが、芸大行くか東大行くか、で東大選びました。」とかって音大生相手の合コンで普通そんなこと言うか〜、って。(◎_◎;)〜〜〜

また佐渡ヶ島出身の人で面白い名前の人がいたっけ。ちょっと珍しい苗字だったのと、野口英世からとったという名前、「僕の将来は決められていましてとにかく今は弁護士になるために勉強しなくちゃならないんです。」とかって「だからテレビも、あるとつい見てしまうんで押し入れにしまってあるんです。」と言ってて。・・・そんなら捨てればいいじゃん、と笑ってしまったのを覚えている。(´・ω・`)

で、面白かったのが、その佐渡ヶ島出身の方はあとで検索入れてみたら、現・新潟県副知事になっておられました。

何といっても大学時代は、活気抜群で兎に角面白いね!

 

お昼前に、ホテル界隈の鳩山会館へ。

明治時代建築の回顧の情があります。

 

午後になって新歌舞伎座へ出かけました。

あまり期待もしていなかったのですが、若手出演者の充実ぶりや舞台演出の和を重んずる美しさと言い、素晴らしかったです。

ここのところヨーロッパのオペラ演出が前衛的になってしまって幻滅しているので、歌舞伎の世界は王道的で真の伝統を伝えんとする気迫に感動しました。

 

帰途につく前に初めてJRに乗り、目黒に出て、あまりの騒々しさにびっくりしました。

上野〜目白台近辺はほんとうに静かで、東京も名古屋もかわらないくらいのどかな風情だったから。

でもこれまで見てきた東京は逆にJR周辺の東京ばかりで、今回の滞在でこれまでゆっくりと見なかった東京都民の姿を見た思いでした。

椿山荘近くのバス停からバスに乗ろうとバス停を聞くと、「でも1区ですよ、都バスだと200円もかかりますよ。」なんて人懐っこく教えてくれたり、六義園から上野方面行のバス停を探していると一緒に歩いて教えてくれたり、まるでイタリアみたいじゃないですか???

 

そう、それで最後に目黒雅叙園で催されていた假屋崎省吾さんのいけばな展を見に行きました。   

目黒雅叙園百段階段は昭和初期の素晴らしい建築で、ここを見るだけでも豪華な気分ですのに、素敵な花々に装飾された歴史的なお部屋の数々は見応え十分でした。

 

    

 

陳山荘、歌舞伎鑑賞、雅叙園と「和のテイスト」続きの今回の東京滞在は、学生時代を偲ばせてくれ、大いに活気をもらいました。

 

年の初めは食を受けつけられないほどのストレス下にあった時期もあったほどでしたが、3月の震災チャリティコンサート出演後多くの音楽家の知り合いたちに励まされ、アンサンブルの妙味を教えられました。

また昨年はとくに心からピアノが好きで努力を惜しまない生徒たちに恵まれ、自分も指導者として揺るぎない進歩を確信できたことも有難い一年でした。

 

今後もすこしずつでも進展しながら、自分の道を邁進してゆきたいと思います。

2014年もどうぞよろしくお願い致します。 

 

  椿山荘日本庭園の弁財天の写真とともに!

         A Happy New Year 2014 !!!

 

 

 

門下生コンサート2013を終えて

投稿日:2013-12-26

23日の門下生コンサート、無事終了しました。

この一年、本当に充実して生徒のひとりひとりの成長、上達の姿を聴くことが出来、素晴らしいコンサートでした。 

 

お友だちとペアレッスンを始めて半年の幼稚園の生徒たちが、二人のママに囲まれて6手ならぬ5手連弾。いや、6手と聴きまごうほど活発で明るさ満々の音でした。それから初めての16分音符をきちんと弾けた初心者コースの生徒、「小犬のワルツ」「乙女の祈り」はほんとにプロ級の繊細なディナーミクを弾きこなしました。このHPに音源を掲載できないのが残念なくらい(◎_◎;)… 大好きな曲「ピーターと狼」の情景転換を表現意欲たっぷりに伝えることが出来た男の子。ソルフェクラスに通う生徒はピアノの中でひとりバイオリン演奏でしたが、誠実な音楽を語りました。受験を目前に控えた高3生徒は、3時から河合塾に行くということで第1部のトリに入れましたが、周囲の沢山の方々から音大をめざされているのですね?と聞かれました。進学校でも優秀な成績の彼女、河合塾でくしゃみしてなかったかしら。 ^^) _

 

第2部では、確か60歳代をいくマダムが昨年から確実な成長をみせました。フレーズ感が出て、音に表情がやっと宿ってきました。中学生たちはそれぞれ勉強に、部活にと、ピアノを続けてゆくこととの葛藤の中にいた生徒たちもいましたが、自分たちの音楽についての自覚を持てたように思います。ひとりは、発表会の翌日に某コンクールの全国大会で東京入りです。

 

社会人たちの成長も目覚ましかったこの一年、基本のツェルニーやバッハをきちんとこなしてくる生徒は大きな進歩で、発表会前近くにはテンペストの音の進行性を出せるまでになりました。ショパンのバラードで臨んだ生徒は、発表会前のひと月前あたりから急速に音色が変わり、穏やかなショパンの音色とその移ろいがすこし出せるまでになりました。またカプースチンの作品に挑んだ生徒はJazzyな感覚と向き合い、たいへん難しいリズムや楽曲構成をとても意欲的に読み取り、曲をまとめ切りました。お客さまの沢山の方から、カプースチンという作曲家に興味を持った、と言われました。スゴイことです。トリを飾ったのは某音大の声楽科生徒。声楽でも優秀な成績のこの生徒は、大好きになったラフマニノフの作品をとても真摯にまとめ、好感度抜群でした。

 

小さな生徒たちから大人の生徒たちまで全員がまとまりをもって素晴らしい演奏を聴かせてくれて、皆の笑顔が素敵でした。

 

講師演奏では、ブルクミューラーから「清い流れ」「貴婦人の乗馬」など4曲を弾きました。プログラムには書いていなかったので、小学生たちの生徒さんにとってはサプライズのプレゼント演奏でしたね。(^^♪ 

そのあとの森本千絵さんvlnを迎えての演奏では、事情でリハに遅れて来られたこともあり適宜なサウンドチェックがままならずリハ時と立ち位置が変わったり、ピアノ位置を替えたかったところでしたがそれも思うようにいかなかったり(生徒たちのリハが終わった後のことでしたのでそこは生徒たちを優先せざるを得ませんでしたので)といろいろありましたが、何はともあれ、生徒たちのブラボーな姿に感動した一日でした。

 

当日は金沢でお知り合いになった方が福井から駆けつけてくださり、下記のような感想をお寄せ下さいました。

 

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先生が感動されたように、私など、わからないなりにも生徒さんたちの素晴らしさを感じました。お小さいかたはのびのびとしっかりしたタッチで弾いておられましたし、小学生がこんなに素晴らしい小犬のワルツに乙女の祈り。 おまけに懐かしいテンペスト。 大好きでしたが弾きこなせずに終わってしまった曲でした。その後の皆さんは、私になど手も届かないような素晴らしい曲を、しかも、なんてそれぞれ才能あふれたピアニストかしらと思う演奏をなさいました。 先生が毎日心をこめてご指導なさっておられるからだと思います。 特に年長の方は、先生に人間の魅力感じておられるから先生の下で勉強を続けておられるのだと思います。 そういうお互いの関係だからこそ、生徒さんの成長やいろいろな思いを感じ取られて感動されたのだと思います。
生徒さんも、先生の普段は聴かせていただけない素晴らしいプロの演奏を尊敬の思いで聴かれたのではないでしょうか。

先生方のフォーレは迫力があり美しく、素晴らしい演奏でした。

確かに先生がご自分のピアノの音がきこえにくいとおっしゃるのが少しわかる気がするところもありました。お互いの楽器のボリュームバランスも、ご自分でチェックなさることもできずもどかしい思いもなさるのかしらと思ってみたり。・・・でも、なかなかバイオリンとピアノのここまでのレベルの演奏を生できかせていただくことなど、年に一度あるかどうか。 とっても嬉しいプレゼントを私もいただきました。 そしてエルガーの愛のあいさつは、思い出もいっぱいの曲。うっとりして聴かせていただきました。

本当にありがとうございました。

 

 

また生徒のお母さまからは、こんな感想がありました。

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客席で聴けた中で印象深かった演奏者の方々…

4.ピーターと狼=物語が浮かぶ様な、素敵な演奏でした。

7.エア・バリエ=ヴァイオリンがちゃんと唄っていて、きれいな音でした。

8.謝肉祭=確か菊里の方でしたっけ?目を閉じて聴き入りました。

11.  Mozart:ソナタ&Liszt:こびとの踊り=中2でこんなに完成度が高い演奏ができるのですね。

13.  ショパン:バラード第1番=説得力のある演奏で、素敵でした。

14.  カプースチン:ソナタファンタジア=飄々とした雰囲気と相まって、とても印象深いピアノでした。

15.  ラフマニノフ:プレリュード&道化師=澄んだ音色の素敵な演奏でした。

  

そして、プログラム最後のゆか先生と森本先生とのフォーレは素敵でした。華やかで、艶っぽくて、お洒落で。ちょっと旧いフランスの匂いのする演奏で。

久しぶりに、どっぷりと音楽に浸ることが出来て嬉しかったです。

素敵なプレゼント演奏をありがとうございました。

 

     

            森本千絵さんvlnと

 

その後、発表会明けに間違えてレッスンに来2人の生徒たち。

うわぁっ、もう何か新曲練習したの?

生徒たちの眼差しは、うっとりとして夢見るように、うるるん、音楽の宿った眼に見えました。せっかく来てくれたけど、ごめん〜。

ちょっと先生、お休みさせてね。(^_-)-☆

夏の横浜

投稿日:2013-12-16

随分冷え込むようになりました。

ちょっと今では懐かしいような、あの夏の日差しがきつかったこの8月。

とても久しぶりに横浜へ行きました。

 

日本ピアノ教育連盟のセミナーの1枚のチラシが目に留まっていました。

タイトルは「スペシャリストのピアノ初期指導法」というもの。

今年は時間にゆとりのある一年になりそうでしたので、春からピアノの講座にいくつも出かけました。

上級者レッスンは問題ないとして、初級者のレベルで大切な基本的下地を如何に小難しい印象なく伝えられるか、というのが私のここ数年の意識の中でありました。

今の子どもたちは情報量が多く、どうしても楽譜を丹念に読む、というセンスにかける気がします。それは読書でも同じじゃないかしら。

耳コピが出来るのもひとつの才覚かもしれないけれど、自分で楽譜を読みとけなければ、次第にソナチネ、ソナタと進んだ頃には「楽譜が読めません。」と言い、付き添うお母さまも「私にもわかりませんから。」と切ない顔で言われて終わってしまう。

こういう方たちは、子どもたちがとにかく音を覚えて暗譜で間違いなく弾ければOK、と思って喜んでいるから、教えているほうの私=先生も本人が読めて弾けているものと騙されて(?)、先のような「時」が来るのだ!

とくに中途で教室を替わってくる方たちにはこういうケース、多いです。

そうさせないため、そうならないためにはどういう構えが必要なのか。

いろんな講座にも出かけ、まぁ実にいろんな先生方がいろんなアイディアをお持ちですが、何かここ一発!というのはないのかなぁ?

思いあぐねていたころに目に留まったものでした。でも、・・・。

 

日時:8月23日 希望者によるレッスンクリニック 10:00

        講座 13:30〜18:00 

        会場:洗足学園音楽大学

そう、東京なのです。

 

でも夏休みのことですし、旅行も兼ねて出かけてみますか、ってことで行ってきました。

かなり前ですが、講習後連盟から頼まれて書いた感想レポートがありますので、紹介します。

 

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私が名古屋から駆けつけた日本ピアノ教育連盟のセミナー「スペシャリストのピアノ初期指導法」。午後に2つの講座、午前中には個別レッスン方式でピアノ指導者のための「レッスン・クリニック」が行われ、折角上京するのだから受けてみようと申込みをしてみました。

思えば音大生時代から始めたピアノ指導の仕事、もう30年が経ちます。音大卒業後フランス国際アカデミーでのレッスン受講を重ね、コルトー・メソッドのテクニックを研究、習得しました。テクニックの分析、解説はもとより、楽譜アナリーゼ、小節割りから曲のグルーブ感を読みとるなど楽譜の深読みをスタディ・アゲインし、今では幼児導入から音大生など上級者レッスンまで教えることについて根幹的に困るということは何もないという毎日です。2年ほど前から中日ピアノグレードテスト(名古屋、岐阜、高山、東京で毎年実施)の審査もさせて頂くようになり、毎回たくさんの演奏を聴き講評を書くにつれ、適宜な判断と助言を導き出す力もアップしてきました。

けれどもレッスンに来た生徒たちにすこしでもさらに上手くなるアドバイスを、と思う気もちが先行し、レッスン時間ギリギリまでピアノに集中し、レッスン室の空気もキツキツの感じです。高校、大学生や社会人たちには問題ないですが、小中学生を相手に少しは軽いジョークや言葉がけでゆったりした雰囲気を作れはしないだろうか。しかも、たいした時間を取らずに。

そう、まさに「自分を変えたい!」という思いでいたところに「〜貴方のレッスンが変わる!名教師のコツでレヴェル・アップを!〜」というチラシの副題が、私の目に留まったのでした。


新横浜から東急バスで向かった洗足学園音楽大学。

レッスン・クリニックの曲目「バッハ:インベンション第6番」は事前に知らされていましたが、私は楽譜には目を通したもののこの日のためにとくべつに勉強をすることはやめ、普段着で接しようと思いました。何か下ごしらえしてしまうと相手がどのような演奏をしてもそれを押しつけかねないと思ったからです。自宅の教室でも体験レッスンでやってくる生徒さんは様々なレベルで、まったく初めて会う生徒さんでも当人の弾くピアノの音と表現を通して音楽上のコミュニケーションをとることに苦労はしません。この日連盟がお手配して下さった生徒さんもよく出来ているようでしたので、楽典的な解説にもどんどんと反応をみせ、レッスンが終わる頃には音楽的骨格がみえる素敵な演奏に変わっていました。担当して頂きました辻井雅子先生には「すてきになりましたね。」「ゼクエンツという言葉をきょうのレッスンで初めて覚えたこと、一生忘れませんね!」などレッスン進行の糸口になる前向きの言葉を挿みこんでいただき、タイミングよく生徒を褒め、活性化することを学びました。レッスン後半では、私がこの曲をE-durの音階の成り立ちからカデンツ、転調、和声進行などに及ぶお話を伝えようとしているのをみてとり、「ホ長調の音階、弾けるかしら?」など俊敏に誘導して下さいました。こうした大いなるリーダーシップに満ちた言葉がけを、自ら行なってゆく必要を感じました。

 

午後からのクラウディオ・ソアレス先生のレッスン・ビデオを使った講義は、私にとってたいへん有効なものでした。

ピアノレッスンといってもさまざまな側面があり、楽典的知識、聴き取る耳、倍音の認識から音量バランス、イントネーションから本当のリズム感、調性、和声進行、音質、タッチ、拍節、フレーズ、抑揚、呼吸・・・と、そこはソアレス先生がセミナーで開示してくださった項目すべてが私の思うところであり、共感できました。ソアレス先生は生徒たちに「上手だね〜。」「あ、上手いね!」「賢いねぇ。」というたくさんの言葉がけ。それらはタイミングが合っていないと宙に浮いてしまいますし、何より先生が1週間なりをかけて生徒たちが一生懸命練習してきたことを、心の耳で聴き、確認し、喜びを共にする。その姿勢にはネガティブな発想がありません。たとえ方向性がぴたりと合っていなかったとしても、まず生徒なりに努力してきた事を受け入れ、解説し、だから「こうでなければね!」という冷静で前向きな雰囲気を作ることが出来ます。

また小学3〜4年生から楽典の成り立ちを根気よく話し、伝え、楽譜をアナリーゼすることを毅然とした態度で、且つゆったりと時間をかけて教えていらっしゃるソアレス先生の姿に感動を覚えました。私はこうした音楽上の科学的アプローチは西洋音楽をやる上で必須のことと考えてはいるのですが、日本人は音楽を感覚的、表層的イマジネーションでとらえるところがあり、楽譜の具体的側面を分析して理解しようとするには一定の努力が必要です。こうした西洋人との差異を思うと、まだピアノを習い始めて数年といった初心者のこどもたちにこうしたことを滔々と解説することは妥当なのだろうかという懸念が、私にはありました。しかしソアレス先生の「こうしたアプローチは当然のことなのだ。」という泰然とした構えに、今後私もそれがいかに大変なことと知りつつも、ゆったりと構えて継続し、遂行してゆこうと、思いを新たにすることができました。

 

セミナー後の私が変わったことは言うまでもありません。

「心の耳で聴く」という姿勢が私自身にゆとりをもたらし、仮に生徒が間違った自分勝手な練習をしてきても単にそのことを叱ったり、咎めたりという雰囲気になることなく、結局は生徒自身に振り返ってくるのだということを示唆できるようになりました。また「こういうアプローチをすればもっとよくなるよね。」と方向性を適宜にまとめ、「次回はこういった点を深めてゆこう。」と次への展望を示唆することで生徒はこころから安心し、期待のこもった顔つきをみせるようになりました。

先日よく練習をしてきた上級者レッスンでこんなことがありました。ショパンエチュード「黒鍵」のレッスンです。速いパッセージの連続の曲ですが、フレーズ間のほんのわずかな間合い、呼吸感の話をしていた時です。弾いてみせたり、いろいろと説明するのですが、なかなか反応しません。以前なら気難しい顔を見せていたところでしょう。しかし「先生は今あなたにどう説明したらわかるかしらと手探りしながら話しているの。」と言いながら手を替え、品を替え話をしている自分がいました。こう言われれば生徒も一生懸命フォーカスしてきます。レッスンを終えてお庭に出たところで、こちらに微笑みかけている生徒の姿がありました。私はその時の生徒の顔を忘れることはないでしょう。とても安心した、信頼感のこもった眼差しがそこにはありました。

 

ピアノという深淵な楽器、長い歴史をもつ西洋音楽という重厚な文化を伝えるには一生をかけても語り尽くせない奥義があり、楽曲を含めた音楽の勉強はレスナーそれぞれが責任を持って続けてゆくことになりますが、日頃のピアノレスナーは独りよがりになりがちな側面もありましょうし、ひとたび壁にぶち当たった時はなかなか解決の糸口を見つけられないまま、毎日のレッスンに追われることもあるでしょう。こうした指導法についてのセミナーやレッスン・クリニックは、時に応じて熱意あるレスナーにとって「有効な窓になる」という印象をもちました。 (2013.8.30記)                                                                                                                                                                                    


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この「心の耳で聞く」という構えは、自分のなかの頑なな部分を解きほぐしてくれたような気がします。

それまではこう弾くべき、という頭から、生徒たちがどのようにアプローチしているかを察知したうえで牽引してゆくような姿勢に変わりました。

まぁ、私たちの時代には先述のような先生が大方でしたので私自身は厳しさには慣れていますが、今の時代は同じようにはいきません。

 

この夏以降、教室の生徒たちはのびやかに成長したと思います。

来週の門下生コンサート、十二分に努力し、表現力豊かに上達した生徒たちの演奏が聴けるのが、心から楽しみです。

 

 

 

「外交官の家」など洋館街をてくてく歩きました。

 

 

大学1年の時に初めて出かけた「中華街」。懐かしぃ!

 美味しかった謝甜記貮号店のランチ!

   

 港には「飛鳥」が停泊していました。

 

  横浜在住の友人とbillsのパンケーキ。超美味!

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