レッスン楽器


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ブリランテ秋吉ピアノ教室 Le salon de concert


インタビュー

ピアノが一番の友だちだった幼少期。
大好きだった個性あふれる先生たち。

先生のピアノとの出会いを教えてください。
  • 秋吉薫子(あきよししげこ)
  • 1998年、パリ・エコールノルマル音楽院留学
  • 2000年、イル・ド・フランスコンクール入賞
  • 1999年〜2002年、ヤマハ パリ マスタークラス受講
  • 2002年、フランス国際コンクール2位、特別賞受賞
  • パリ・エコールノルマル音楽院 ピアノ・室内楽ディプロム取得
  • ピアノを松永和子、上村澄春、堀江真理子、ドミニク・ジョフロアの各氏に師事
  • ソルフェージュを山田順之介、室内楽をマリー=ピエール・ソーマの各氏に師事
  • ブリランテ秋吉ピアノ教室主宰
  • ピティナ(全日本ピアノ指導者協会)会員
4歳から自宅で個人レッスンを受けるようになりました。もともと2人の姉もピアノを習っていたので、ピアノの音色は生まれたときから聞いていたと思います。
当時は母がとても忙しくて、おもちゃや洋服も姉たちのお下がりが多かったのですが、そのかわりにいつもそばに音楽があり、カセットテープからはクラシックや童謡が流れていました。私はそれだけで機嫌がよくなり、音楽に合わせて歌ったり、踊ったりしていたそうです。
ピアノしか夢中になれるものがなかったからこそ一途に続けられたのかもしれません。ピアノから音が出るだけでも楽しくて仕方がなかったのを覚えています。
当時の先生で印象に残っている方はいらっしゃいますか。
小学生の頃まで習っていた女性の先生がとてもやさしい方で、毎週先生に会えるのがうれしかったですね。非常に勉強熱心な先生で、ピアノも聴音もバランスよく教えてくれました。先生もピアノも大好きで、先生も「この子だけはピアノを辞めさせないでください」と言ってくれました。
中学生のときに習っていたのは、コンクールの審査員やオーケストラの指揮者としても活躍していらっしゃる男性の先生でした。広い視野で音楽を構築しながらレッスンをする方でしたね。先生自らたくさんの曲を弾いてくれるので、レッスンに行く度に刺激を受けました。
発表会やコンクールでは褒められたことがなかったんですが、厳しくても愛情を持って指導してくれて。悪いところを指摘するにもただ怒るんじゃなくて、エスプリにあふれた言い方をしてくれるので、心をわしづかみにされていました(笑)。

絵を観るようにピアノを弾く。
フランスの芸術的音楽との出会い。

その後、フランス・パリの名門私立音楽院「エコール・ノルマル」に4年間留学をされています。それはどのような思いからだったのでしょうか。
日本とフランスで活躍しているピアニストの先生からの影響もあって、フランスの音楽に興味を抱くようになったんです。
ピアノを弾くときに、日本だとまず指を鍛えることや技術的な正確さや速さが求められてしまうんですが、フランスでは、感性を重要視するというか、絵を観るように音を作っていくので、音色も多彩です。
自分が好きなドビュッシーやラヴェルやフォーレがどんな空気の中でどんな思いを感じてどんなふうに曲を作ったのか、実際に感じてみたいと思いましたし、そういう芸術的な環境に身を置いて、自分の演奏に生かしたいという思いが強くなっていきました。それで留学の準備を進めて、念願のフランスへ飛び立つことにしたんです。
実際にフランスに行ってみていかがでしたか。
芸術の都・フランスには、古い歴史があり、ゆっくりとした時間が流れています。そこにいるだけで、音楽・美術・文学が融合し、影響し合っていることを強く実感します。
パリで出会った先生は、細かいテンポを刻んで、メロディーを歌いながらレッスンしてくれる方でした。すると、指が自然に動き出すようになめらかにピアノが弾けるようになり、日本語にはないリズム感やテンポ感にあふれた音楽に近づいていきます。
同じアパートの住人には画家がいて、私のピアノの音を聞くと「あなたがバッハを弾くとピカソのタッチをイメージするし、ラヴェルを弾くとスペインの踊りをイメージする。ショパンを弾けば、昔バレリーナだった母親が踊り出すよ」って言うんです。
そういう日本とはまるで違う環境の中で、ピアノを弾けたことはとても刺激的で素晴らしい経験だったと思います。
ほかにも国境を越えた出会いが多かったとお伺いしました。
学校の授業とは別に受けていたマスタークラスのレッスンでは、フランスだけではなく、ロシア、ドイツ、スペイン、イタリアなどの著名な先生やピアニストと出会い、非常に刺激を受けました。諸外国に囲まれた土地柄もあって、さまざまな国の人や文化、音楽に触れることができましたし、グローバルな視野や感覚を養うことができたと思います。
ヨーロッパでは、コンクールに出場するのも、ただ1位とか2位の順位を決めるための競争ではなく、自分のレパートリーをふやし、世界を広げることに意味があります。
コンサートホールひとつとっても、大きさや収容人数ではなく、質を大事にするんですよ。質の高い音を聴かせてくれるホールが多く、いたるところに音楽があふれています。
たとえば、サロンコンサートでは、国籍に関わらず老若男女が参加して、演奏のあとには、おいしいワインやお茶やお菓子を楽しみながら交流するんです。今後は日本でも、そういうサロンコンサートを定期的に実現していきたいと思っています。

生徒はみんな磨けば光る原石。
音楽と一生つき合っていけるように、“伝えて”いきたい。

そういったご経験が現在のピアノ指導に生かされているのですね。
ピアノも絵画と同じように感性で表現するものですから、自分が感じたことや受けた影響をどれだけ音に反映することができるかが大切です。そういう意味で、絵筆のタッチと、ピアノのタッチは似ています。まずは花でも絵画でも写真でも風景でも、キレイなものを見てキレイだという。それを音色として表現できるようにレッスンをしています。先生と生徒が共感し、同じ目線で感想を言い合えるように、生徒の素直な気持ちをできるだけ引き出せるように心がけています。
ほかにはどのようなことを心がけていらっしゃいますか。
ピアノは決して特別なものではありませんから、誰もが気軽に楽しくピアノが弾けるようになるよう、少しでも力になれればと思っています。
幼少の頃にピアノを習っていて現在ブランクがある人、学生時代から音楽が好きでもっと深く学びたいと思っている人、ピアノに興味はあるけれど全くの初心者の人。いろんな方がいらっしゃると思いますが、それぞれの個性や希望に合わせて、できるかぎり最短で好きな曲がマスターできるようにレッスンします。
子どもの場合は特に、歯を磨いたり、顔を洗ったりするのと同じように、毎日のコツコツとした積み重ねが大事です。練習をしたら、シールを貼ったり、ぬり絵に色をぬったりと、達成感をたくさん感じながら、自分で楽しくタイムマネジメントができるように工夫しています。自分でタイムマネジメントできるようになれば、きっと学校の勉強にも社会に出てからも役立つでしょう。
1日の間にどれだけピアノに触れられるか。これは教室でのレッスンだけでなく、家での練習も肝心ですから、私と生徒と保護者が三位一体になることが求められます。三者とも同じバランスで、どちらかにかたより過ぎてもダメですね。近すぎず遠すぎずの距離感で信頼関係を築いていきたいと思っています。保護者の方には気軽にお茶を飲みにきてもらって、教育方針や受験に対する考え方など、いろいろお話を聞くようにしています。中学や高校受験はなるべく早く決めてもらって、お互いが納得できるように進めていきたいと思っています。
大人も子どもも誰もが磨けば磨くほど光る原石だと信じています。どんな方にも必ずいいところがありますから、一人ひとりを多角的に見て、個性をもっともっと伸ばしてあげたいですね。コンサートやイベントも定期的に行って、できるだけ生徒により良い環境を作っていきたいと思っています。
最後に、ピアノを指導するにあたって一番大切にしていらっしゃることを教えて下さい。
音楽は教えるものではなく、伝えるもの。それが常に根底にあります。そのためには自分がいかに音楽を楽しむかも重要です。自分が楽しまなければ、生徒にも音楽の魅力は伝わりませんから。音符がどうとかいう前に、まずは感性を磨いて、表現力を養うことも大事です。
音楽は人の心を癒すパワーや生きるためのエネルギーを秘めています。
音楽を学ぶと、美しいものがもっと美しく見え、言葉にできない心を音色にのせて表現することができます。音楽を通じて、コミュニケーションしたり、友だちの輪を広げたり、これからの人生がより豊かなものになるように、一生音楽とつき合っていってもらえたらうれしいですね。

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